介護分野でも身近なツールとなるウェアラブルデバイスが、様々なIoTとの間での接続性を高め、測定したデータの容易な共有・連携が可能となる革新的な規格の国際標準に向けた審議が開始されます。
ウェアラブルデバイスの接続性・連携性に革新をもたらす「センサ信号のコンテナフォーマット」
センシング技術やワイヤレス技術が進化し、体調管理や運動時の活動測定などIoT・ヘルスケアの分野で様々なウェアラブルデバイスがグローバルに展開されています。
一方で、取り扱う信号の形式などがメーカーや機器ごとに異なるため、“メーカーA社とメーカーB社の機器を同時に接続できず、データ連携や共有がしづらい”など使い勝手に多くの課題を抱えています。
そうした課題が世界レベルで解決できそうな機器接続用の規格が、国際標準化に向けた取り組みが進んでいます。
広島市立大学、ITソリューションベンダーのTIS、電子計測機器等の開発・製造・販売を行うエー・アンド・デイ、マテリアル・ヘルスケア・ITの領域で事業展開する帝人の4者が中心に推進するもので、電気・電子技術分野の国際規格(IEC)であるIEC 63430として2023年度の発行を目指し審議をおこなっていくとしています。
まず「ヘルスケア・医療」領域の活用を想定、普及に向けた組織設立も検討
4者は、経済産業省が公募した省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業「ウェアラブルセンサ信号のコンテナフォーマットに関する国際標準化」(令和2年度から3年間)に採択されたことをきっかけに、分割された階層ごとのルールを共通的に処理できるよう、センサ信号のやり取りを“コンテナ”化する技術仕様の一連の標準化準備(国際標準規格案策定)作業を続けてきました。2021年10月には、IECのTC100(※1)に対し、新規国際標準規格として「ウェアラブルセンサ信号コンテナフォーマット技術」の提案し、同年12月に承認されています。
コンテナフォーマット技術で標準化されたセンサ信号が流通すると、様々なIoT・ウェアラブルデバイス間の接続性が高まり、測定したデータを容易に共有・連携することが可能になります。
まずは「ヘルスケア・医療」領域での活用を想定し、重要度が一層高まることが予想される自立生活支援(AAL:Active Assisted Living)の実現を図ります。
今後は、2023年の国際規格発行に向けた諸活動と並行して、リファレンス・システム(※2)の開発を計画しています。
さらに、デバイスをはじめプラットフォーム、ソリューションなどウェアラブルセンサ信号を利活用し得るユーザー・関係諸団体など幅広い層の参画を念頭に、ウェアラブルセンサ信号コンテナフォーマット技術の普及に向けた組織の設立を検討していくとしています。
(※1)IEC TC(Technical Committee)100:オーディオ、ビデオ、マルチメディアシステムおよび機器の技術分野に関連する国際標準化を担当する技術委員会
(※2)リファレンス・システム:考案したウェアラブルセンサ信号コンテナフォーマット技術の機能や実装の検証用システム
[関連リンク]
公立大学法人広島市立大学 大学院 情報科学研究科 医用情報通信研究室
http://www.mict.info.hiroshima-cu.ac.jp/
TIS株式会社
https://www.tis.co.jp/
株式会社エー・アンド・デイ
https://www.aandd.co.jp/
帝人株式会社
https://www.teijin.co.jp/