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浴室内事故は電波でストップ!高精度見守りシステム販売へ

ICT・テクノロジー

これまで対策に頭を悩ませていた浴室内の事故を防止する見守りシステムが開発されました。電子部品メーカーのSMKが2022年春からの量産開始を目指します。システムの特長を紹介します。

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イスラエル EchoCare社が開発した電波式の見守りシステム

SMK(東京都品川区)が量産を目指す「電波式見守りシステム」は、イスラエルのEchoCare Technologies Ltd.が開発したもの。EchoCare社は、イスラエルを拠点都市、高齢者介護用家庭見守り(Elderly Care Home Observer:ECHO)システムを開発する、2015年に設立されたスタートアップ企業。SMKでは2019年5月に、本システムの製造・販売のための資本業務提携契約を締結しています。

交通事故よりより多い浴室内事故

浴室内の事故に関しては高い水準で推移している状況で、65歳以上の高齢者の死亡事故で見ると2011年に年間4138人となってから4000人台を切ることはなく、2017年に5176人と初めて5000人を超えるなど、高い水準で推移しています。4000人を超えた2011年以降は、交通事故による死亡者数より多くなっているのが現状です。

浴室内事故は電波でストップ!高精度見守りシステム販売へ

(厚生労働省「人口動態調査」から「W65 浴槽内での溺死及び溺水」と「W66 浴槽への転落による溺死及び溺水」を基に消費者庁で作成)

浴室特有の環境から困難だった防止策

高い水準で推移している浴室内事故ですが、これまで転倒や水没等の危険な状態を検知する製品・サービスはこれまで普及してきませんでした。
要員のひとつは、浴室ではプライバシーへの配慮が必要であり、カメラを使ったシステムは使用できないこと。また、浴室特有の環境が障壁となっている点もあります。センサーやカメラは狭い室内、シャワーや水面のゆれ、湯気など影響を受ける要素が多く、高い精度の検知を行うには技術的に非常に困難とされています。

UWB使用、画像認識不要など備えた電波式見守りシステムの特徴

浴室内事故は電波でストップ!高精度見守りシステム販売へ

EchoCare社が開発した電波式見守りシステムは、Ultra Wide Band(UWB)と称する超広帯域無線通信という非常に広い周波数帯域(数百MHz~数GHz)を使用したもので、障害物の影響が少ないという特徴を活かしたシステムです。
画像認識を不要とし、高齢者のプライバシー保護、ひとつの装置で約40㎡の範囲をカバー可能としています。
ちなみに40㎡はおよそ26畳ほどの広さです。

SMKとEchoCare社は、中部電力や集合住宅管理を行う日本総合住生活、ユニットバスメーカー、高齢者施設運営会社等との実証実験を繰り返し実施し、さまざまな浴室のサイズ、シャワー、水面の揺れの影響等をノイズとして学習させることで、浴室内での位置、姿勢、転倒や水没などの検知率を90%(SMK実験環境での精度結果)まで高めることに成功しています。

電波式見守りシステムにより実現可能な機能

電波式見守りシステムは、位置、姿勢、転倒、浴槽での溺水、呼吸状態を自動的に検出することで、緊急事態や異常状態のアラート発報を可能とします。
また、人の日常活動を監視し、活動状況や歩行状況等のデータをクラウドに集積できることから、健康状態の変化や認知症の予測等への活用に期待されています。

SMKとEchoCare社は、2022年の量産に向け次のようにコメントしています。

「浴室環境での特徴を活かした量産前の試作品リリースにより、一般住宅や高齢者施設、病院等でさらなる実証実験を進め、2022年春の量産開始と5年間で50億円以上の売り上げを目指します。」

▼実際の環境下での使用例(デモ動画)
浴室

介護施設・病院

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