厚生労働省が運用する科学的介護情報システム「LIFE」への対応、さらには介護DX(デジタルトランスフォーメーション)としてビジネス変革につなげるためのプラットフォーム化と、介護サービス事業者にICT環境の整備が求められるなか、国立大発ベンチャーAUTOCAREがサポートサービスを開始しました。
「LIFE」への必須対応が介護DX化のきっかけに
「LIFEの活用を前提としたDXコンサルティング」とするサービスを開始するのは、九州工業大学発ベンチャーであるAUTOCARE(福岡県北九州市)。
これまで介護自動記録AIアプリ「FonLog」、厚生労働省が運用するシステム科学的介護情報システムLIFEへの提供データを無料で編集できる「LIFEワークシート」を提供など、介護の分野にAIとIoTを学びとともに普及させることをミッションに展開しています。
そのAUTOCADでは、IT活用でビジネス変革を目指すデジタルトランスフォーメーション(DX)化に向けた支援も行っています。
今回の「LIFEの活用を前提としたDXコンサルティング」サービスは、厚生労働省の政策により今年度の介護報酬の多くの加算科目に、「科学的介護情報システム(LIFE)」の活用が要件として含まれたことを受け、介護DXを実現する大きなチャンスと捉え開始するものです。
LIFE(Long-term care Information system For Evidence)とは、これまで高齢者の状態やケアのデータ収集システム(CHASE)と、通所・訪問リハビリテーションデータ収集システム(VISIT)を一体運用をするもので、ICT導入補助金のためにも要件となっています。
LIFEの活用には、
- 利用者の情報を毎月LIFEに提供すること、
- LIFEからのケア改善に関するフィードバックを十分に生かすこと、
が重要ですが、2の内容はまだ明らかになっていません。
現時点では、1のための負担はかかるもののケア向上のPDCAを回すことはできない、という現場の負担が増えるだけになる恐れがある状況です。
こうして、LIFEは消極的に対応するだけなら負担にしかならないのですが、LIFEの多対応とリンクさせ、その先の「LIFEの活用を前提として業務を全く新しいものに変革する」介護におけるDXを起こす絶好のチャンスというわけです。
IoTビッグデータ解析技術も活用
同大の井上創造研究室では、介護・医療のIoTビッグデータ解析に関する研究成果を発表してきており、AUTOCAREの備える技術やスキル、サービスとを活かした提供を考えています。
LIFEデータでできるDXとは
ビッグデータ解析に用いる分析技術をLIFEをはじめとする介護事業所のデータに適用することで、次のようなDXの実現の可能性が見えてきます。
- LIFEデータの記録補助(IoTセンサや過去データに基づいた記録内容の推定と推薦)
- リハビリテーション目標・口腔機能改善効果の近未来予測
- LIFEデータを用いた日々の食事量や水分量の予測
- 排泄状態や認知症周辺症状(BPSD)の近未来予測
- デイサービスにおいて、LIFEのアセスメントデータを用いた利用日変更の予測
- 事故やヒヤリハットのリスクの予測と、万が一発生した場合の要因分析
これらの、データに基づいた生産性の向上、DXに取り組む介護事業者に対して、AUTOCAREでは真に科学的な手法をアドバイスし、国立大学法人の研究者や学生とともに、先端のデータ分析に取り組むとしています。
▼関連リンク
AUTOCAREホームページ https://autocare.ai