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介護事業所のDXの実態-約半数がDXに取り組み中

介護事業所のDXの実態-約半数がDXに取り組む 調査

医療・福祉分野の人材紹介・派遣サービス大手トライトグループ(本社:大阪府大阪市)が、介護従事者を対象に「介護事業所におけるDX実態調査」を実施しました。その結果、半数がコロナ下でDXに取り組んでいる、ケアサポート面でのロボット活用は1割未満、DX化への障壁は知識不足、などの実態が浮かび上がりました。

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「LIFE」対応の必須も重なり、DX化は急務な課題に

あらゆる業種で進むデジタルトランスフォーメーション(DX)。データやデジタル技術を活用し、組織やビジネスモデルの変革をしていくことを指しますが、その第1歩はデジタルツール導入による個別領域のデジタル適応です。
管理ツールからAI、ロボットまで、デジタルツールの環境は整いつつあり、導入している介護事業者は増加傾向にあります。

さらに、政府は2021年4月から介護の新データベース「科学的介護情報システム(LIFE)」の運営を開始、介護事業所の高齢者へのリハビリやケアの情報をデータ化・分析し、介護プランの作成に役立てることを目指しています。

そうしたなかで、デジタルツール導入による業務効率化、DX化からの価値提供の多様化は急務な課題となってきました。

調査を実施したとライトグループは、介護DX推進を後押しするため、2021年4月にWEBメディア「AIケアラボ」(https://ai-carelab.tryt-group.co.jp/)をスタートさせ、介護従事者向けに業界のAI・DX に関する最新情報を発信しています。

今回、DXが円滑に進むために必要な施策を把握することを目的に、介護事業所におけるDXの実態や抱える課題を明らかにする本調査の実施に至ったということです。

【調査結果概要】
調査期間:2021年4月30日~5月2日
調査対象:10代から60代以上の介護従事者 男女303名
調査方法:インターネット調査

主な調査結果

  1. 約半数(45.2%)がコロナ下でDXに取り組んでいる実態
  2. DXが特に進んでいる分野 Best3「介護記録業務(51.8%)」「介護報酬請求業務(41.1%)」「身体介護業務(34.5%)」
  3. DX推進のために活用しているツールは「介護記録ツール(44.6%)」「介護請求ツール(30.4%)」「コミュニケーションツール(26.2%)」のほか、浴室内の見守りや転倒防止など身体介護業務を支援する「センサー(26.2%)」が上位。一方で、身体介護を行う介護ロボットの活用は 1 割未満(6.5%)
  4. 今後DXに取り組みたい分野は「介護記録業務(33.3%)」、リハビリ、レクリエーション、メンタル面のケアなどの「その他、施設利用者の支援業務(22.4%)」「身体介護業務(22.1%)」が上位
  5. 介護業界が抱える二大課題である「人材不足」「定着化」にDX活用を望む声は約6割(61.1%)
  6. DXの課題トップは「知識・ノウハウが無い(43.2%)」、次いで「予算がない(40.3%)」「費用対効果が低い・分かりにくい(31.7%)」

【総括】 トライトグループ 執行役員経営企画本部長 三浦 麗理

今回の介護職員303名へのインターネット調査では、45%がコロナ下でDX(デジタル技術で、人々の生活をより良いものへと変革しようという動き)に取り組んでいると回答しています。中でも介護職員1人当たり職務時間に占める割合が7.3%*となっている記録業務に関しては、既に52%が取り組んでおり、45%が記録ツールを活用していることが分かりました。
一方で、「人材不足」や「人材定着」の解決に対して61%がDXの活用を望んでいるものの、全体的に「知識・ノウハウが無い(43%)」、「予算がない(40%)」、「費用対効果が低い・分かりにくい(32%)などの理由から記録業務や介護報酬請求業務以外の介護現場におけるDXが進んでいない状況が伺えます。

今後は、科学的介護を実践するために必要なITスキルやDXに関する知識・ノウハウを身に付けることが介護職員のキャリアアップに繋がっていきます。
当社では先月、業界初の介護・福祉分野に特化したAI・DXの情報サイト「AIケアラボ」を開設しましたが、これからも介護職員のリスキル(新しい技術を身に付ける)をサポートしてまいりたいと思います。
*厚生労働省「令和 3 年度介護報酬改定の主な事項について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000753776.pdf

「介護事業所におけるDX実態調査」調査結果詳細

1)約半数(45.2%)がコロナ下でDXに取り組んでいる実態

コロナ下でのDXへの取り組み状況について、「積極的に取り組んでいる」が18.5%、「一部取り組んでいる」が26.7%と、約半数(45.2%)がDXを進めている実態が明らかとなりました。

 介護事業所のDXの実態-約半数がDXに取り組む

 

2)DXが特に進んでいる分野Best3「介護記録業務(51.8%)」「介護報酬請求業務(41.1%)」「身体介護業務(34.5%)」

DXの取り組み分野としては、利用者の情報や、利用者へ提供した介護サービスの記録などの「介護記録業務(51.8%)」が最多で、次いでレセプトや介護給付費請求などの「介護報酬請求業務(41.1%)」、食事、入浴、排泄介助など体に直接触れて行う「身体介護業務(34.5%)」でした。

事業所の種類別で見ると、訪問介護では、掃除、洗濯、調理など日常生活の援助の「生活援助業務(40.0%)」が上位、デイサービスやデイケアなどの通所介護では、リハビリ、レクリエーション、メンタル面のケアなどの「施設利用者の支援業務(37.9%)」が上位となり、事業所の種類によって傾向が異なりました。提供するサービスに合わせて、優先度の高い業務からDXに取り組む様子が伺えます。
(グラフ内の各業務分類の詳細については、グラフ画像の下部分をご覧ください。)

 介護事業所のDXの実態-約半数がDXに取り組む

 介護事業所のDXの実態-約半数がDXに取り組む

 介護事業所のDXの実態-約半数がDXに取り組む

※業務の分類について
●介護記録業務:利用者の情報や利用者へ提供した介護サービスの記録など ●介護報酬請求業務:レセプロ・介護給付費請求など ●身体介護業務:食事、入浴、排せつ介助など体に直接触れて行う介護 ●人事業務:採用活動や人材の定着、人事評価、勤怠管理など ●その他、施設利用者の支援業務:リハビリ、レクリエーション、メンタル面のケアなど ●生活援助業務:掃除、洗濯、調理など日常生活の援助 ●経理業務:給与計算、経費精算など ●総務業務:備品の管理や発注、施設の管理など ●カスタマーサポート業務:施設利用者や利用者家族からの問い合わせ対応など ●法務業務:契約書の作成や事業所内規定の策定など

3)DX推進のために活用しているツールは「介護記録ツール(44.6%)」「介護請求ツール(30.4%)」「コミュニケーションツール(26.2%)」のほか、浴室内の見守りや転倒防止など身体介護業務を支援する「センサー(26.2%)」が上位。一方で、身体介護を行う介護ロボットの活用は1割未満(6.5%)

DX推進のために活用しているツールは、「介護記録ツール(44.6%)」「介護請求ツール(30.4%)」のほか、オンライン上での従業員同士による意思疎通や情報共有、コミュニケーション内容のオンライン管理などの「コミュニケーションツール(26.2%)」の利用が多い結果となりました。身体介護業務においては、「センサー(26.2%)」の活用は進んでいる一方で、「介護ロボット」の活用は1割未満(6.5%)と、ツールによって現場での活用のしやすさに差が出ている実態が推測できます。

規模別で分析すると、特に81人以上の規模の大きい事業所では、利用者のデータを元にした介護サービスの計画書の自動作成などの「ケアプラン作成ツール」や「センサー」などの活用が顕著で、DXが進む傾向が明らかとなりました。
(グラフ内の各ツールの詳細については、グラフ画像の下部分をご覧ください。)

介護事業所のDXの実態-約半数がDXに取り組む

介護事業所のDXの実態-約半数がDXに取り組む

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※ツールの分類について
介護記録ツール:利用者の情報や利用者へ提供した介護サービスの記録データのオンライン管理など ●介護請求ツール:介護報酬請求業務の効率化、レセプト管理など ●コミュニケーションツール:オンライン上での従業員同士による意思疎通や情報共有、コミュニケーション内容のオンライン管理など ●センサー:浴室内の見守りセンサー・離床感知や転倒防止の見守りセンサー、赤外線センサーなど ●ケアプラン作成ツール:利用者のデータを基にした計画書の自動作成など ●勤怠管理ツール:オンラインでの出退勤報告、従業員の勤務時間や残業時間・出勤日数のオンライン管理など ●給与計算ツール:従業員の勤怠管理データなどを元にした給与金額の自動計算、給与明細書の自動作成、オンライン上での給与明細の配布など ●人材採用ツール:応募者情報や採用スケジュールのオンライン管理など ●人事評価ツール:従業員の成果や組織に対する貢献度など人事評価に関わるデータのオンライン管理など ●施設管理ツール:入居待機者管理・各部屋の空き状況の管理や、会議室・社用車の使用状況のオンライン管理など ●生活援助の支援を行う介護ロボット:掃除や調理、利用者とのコミュニケーションなど、日常生活を支援するロボットなど ●経費精算ツール:経費精算のオンライン申請や経費勘定科目の自動仕分けなど ●電子契約書サービス:電子契約書の作成、締結、管理など ●顧客管理ツール:問い合わせ内容、対応履歴、進捗などのデータのオンライン管理など ●身体介護の支援を行う介護ロボット:移動支援や排せつ、入浴などの動きを支援するロボットなど ●リハビリ支援ロボット:歩行状態の判断や機能訓練の支援をするロボットなど ●備品管理ツール:在庫状況のオンライン管理など ●メンタルケアツール:ストレスレベルを自動で計測するツールなど

4)今後DXに取り組みたい分野は「介護記録業務(33.3%)」が最多、次いで、リハビリ、レクリエーション、メンタル面のケアなどの「その他、施設利用者の支援業務(22.4%)」「身体介護業務(22.1%)」

DXに取り組みたい分野は、「介護記録業務(33.3%)」、リハビリ、レクリエーション、メンタル面のケアなどの「その他、施設利用者の支援業務(22.4%)」、食事、入浴、排泄介助など体に直接触れて行う「身体介護業務(22.1%)」の順に多い結果となりました。

「介護記録業務」については、2021年度の介護報酬改定で新設された科学的介護推進体制加算において、要介護の高齢者への提供サービス内容などのデータを「科学的介護情報システム(LIFE)」へ提供することで介護報酬が上乗せで支払われることを受けて、介護記録業務への取り組みを強化しようとする事業所が多いことが推察できます。81人~100人の規模では39.4%、101人~の規模では40.7%と約4割で、規模の大きい事業所では、全体と比較して、その傾向が高いと言えます。

介護事業所のDXの実態-約半数がDXに取り組む

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5)介護業界の二大課題である「人材不足」「定着化」にDX活用を望む声は約6割(61.1%)

介護業界が抱える二大課題である「人材不足」解消や「人材定着」のためにDXを活用したいと答えた人は約6割(61.1%)でした。事業所の種類別では、訪問介護においては約8割(77.3%)がDX活用を望む結果となり、顕著でした。訪問介護では、利用者の自宅でサービスを提供することから、従業員同士のコミュニケーションが図りづらいため人間関係が希薄化することも多く、通所介護や入所施設と比較して、人材不足がより深刻な課題となっていることが伺えます。

介護事業所のDXの実態-約半数がDXに取り組む

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6)DXの課題トップは「知識・ノウハウが無い(43.2%)」、次いで「予算がない(40.3%)」「費用対効果が低い・分かりにくい(31.7%)」

DXを進めるうえで課題と感じることについては、「知識・ノウハウが無い(43.2%)」「予算がない(40.3%)」「費用対効果が低い・分かりにくい(31.7%)」が上位でした。介護業界におけるDX推進には、介護従事者に対して、最新のDXに関する情報を、正確かつ分かりやすい内容で提供していくことが求められます。

介護事業所のDXの実態-約半数がDXに取り組む

 

なお、本調査に関するより詳しい内容・報告書は、AIケアラボにて公開していくとしています。

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