読売テレビ(大阪市)「そこまで言って委員会NP」の10月18日放送で『菅内閣発足1か月!「そこまでシャドウキャビネット2」またもや所信表明SP!』が放送されました。そのなかで将来的な介護環境に向けた政策案もあり識者による議論が展開されました。展開された議論から地域活性化と介護について取り上げます。
巷のニュースの中から社会問題、政治、経済から芸能、スポーツ、男と女の事件簿まで、あらゆるジャンルのテーマを対象にした、討論番組の要素を備えるバラエティ番組。議題提案をVTRで紹介し、そのあと出演者が自らの意見を披露しながら放送の限界に挑む討論を行うスタイル。
5人の“大臣”が目玉政策を発表
「そこまでシャドウキャビネット(影の内閣)」企画では、識者が大臣になり代わり“目玉政策”を発表、パネリストと議論を交わすというもの。10月18日放送回では、環境大臣・蓬莱大介氏(気象予報士)、経済産業大臣・井上久男氏(経済ジャーナリスト)、法務大臣・本村健太郎氏(弁護士)、厚生労働大臣・中野雅至氏(元厚生労働省官僚・神戸学院大学教授)、五輪担当大臣・溝口紀子氏(柔道家・日本女子体育大学教授)という面々から独自の政策が示されました。
そのなかで“厚生労働大臣”として中野雅至氏が示した政策が「さらば東京法(=企業・人材再配置促進法)」。東京一極集中を是正し、多極分散による地域活性化を促進しようという法案で、地方へ移転、移住する企業や社員に資金面や必要な整備の補助、支援を行うという内容です。
- 本社を東京以外に移す企業には補助金、融資、税制上の優遇措置を与える
- 本社移転とともにテレワークを推進する企業についてはネットワークの整備費用を補助する
- 地方の移住する本社社員のために地方の空き家を有効活用する
「さらば東京法」に対するコメント引用
中野雅至氏
「いままでなかなか東京一極集中は是正できなかったんですが、感染症の拡大で自然と在宅労働や本社移転で東京から出ていく人や企業が増えるだろうと。
(過度に工業が集積している地域から集積の程度が低い地域への移転を推進する)工場再配置法という法律があって人工的に後押ししたが、今回は人工的あるいはマーケットの力のどちらも借りずに、おそらく感染症の力である程度移転していく、それを後押ししようという政策です。」
いろいろと議論が展開される中、話題は介護・医療への影響へ。コメントを引用します。
竹中平蔵氏(東洋大学教授)
「地方で圧倒的に有利なのは老人の介護ですよ。
地方は若い人が来てほしいというんだけれども、これからものすごく介護の必要性が出てきますから、それをコストの安い地方でやって、そうするとそれに基づいて仕事をする若い人も付いてくる。
問題は地方自治体が、その社会保障をしなければいけない、それを国が補助する。そういうやり方が東京一極を是正するいちばん良い方法です。」
丸田佳奈氏(産婦人科医・タレント)
「病院の話ですけど、いまは都市より田舎の方が不足しているといわれますけど、これから10年20年30年後は東京の医療が不足します。
というのは、今の若い方が年を取ると東京だけ年寄りが多くなるわけですよね、それを支える若い方がいない。そのころには地方の高齢者はいなくなっているわけですから、地方の病院はつぶれてお医者さんもいなくなる、介護する人もいなくなる、といった不足が今度は田舎から東京に起きてくるので、そうした点からも(いまのうちから平衡化し解消につながる)中野さんのおっしゃることは良いかなと思いました。」
竹田恒泰氏(作家)
「規制改革を徹底的に進めれば自然と一極集中は解けるんですね。
例えばですよ、これから5Gの時代になると、東京に居ながらにしてニューヨークの患者の手術ができるようになるという話ですよね。
リモートでの診療をどこまで許していくかとか、そういうことを解除していけばどこに住んでいたって最高水準の医療が受けられるようになるんですね。」
中野氏
「いやそれが難しいところでね、人工的な力でも分散できなかったし、マーケットに任せたら任せたで90年代後半に結局東京に集中したんですよ。
ウイルスの力を借りてというのは言い過ぎだけれども、これを好機ととらえればいいんですよ。」
それぞれに議論が余地はあるとはいえ、ほとんどの識者が賛成しており、withコロナを前提とした今後の介護環境の在り方に検討し得るアプローチということが言えそうです。
東京都は感染症発生の高齢者施設への支援体制を構築
その東京都ですが、10月23日に「新型コロナウイルス感染症発生時における職員の派遣に関する協定」を締結したことを発表しました。感染症が発生した高齢者施設が入所者へのサービスを継続できるよう、他の施設から応援職員を派遣する広域的な支援体制を構築することを目的に都内の高齢者施設で構成される関係団体と協定を締結したものです。
介護の現場においては、高齢者が入所する施設で新型コロナウイルス感染症が発生した場合は、施設内のゾーニングや消毒など緊急の対応が迫られる一方で、職員は出勤停止となり、圧倒的に人員が不足してしまうという、目に見えた課題の解決を目指すということです。
協定の概要は次のとおりです。
協定締結団体
社会福祉法人 東京都社会福祉協議会
・会長/木村惠司 会長/平川博之
・会員数/介護老人保健施設156施設
※会員数は令和2年8月末日時点
協定の概要
- 協定締結団体においてコーディネーターを配置し、感染発生施設への職員派遣に協力いただける施設を登録します。
- 新型コロナウイルス感染症が発生した施設で人員が不足し、法人内や区市町村内での対応が困難な場合において、都から協定締結団体へ調整を依頼します。
- 協定定締結団体は、登録施設に対して派遣を要請するとともに、人数や日数等を調整し、派遣が円滑に行われるよう支援します。
職員派遣の対象施設
- 都内の特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、養護老人ホーム及び軽費老人ホーム
- その他、都が職員の派遣を必要と認める介護保険施設等