介護と密着のスマートシティ…とはいえ、まだ半数が「知らない」

介護と密着のスマートシティ…とはいえ、まだ半数が「知らない」 Report
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全国1万人に調査した結果、ほぼ半数の人が「知らない」「聞いたことがない」と返した「スマートシティ」。実際にはその実現に向けた整備が着実に進みつつあります。介護現場にも大きな影響が出てくるスーパー/スマートシティの概況にふれつつ、調査結果を紹介してみます。

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着実に取り組みが進むスーパー/スマートシティ

2020年5月、スーパーシティおよびスマートシティ構想を実現していく“スーパーシティ法案”「改正国家戦略特区法」が成立しました。国家戦略特区は、“世界で一番ビジネスをしやすい環境”をつくるため、規制・制度の緩和や税制面の優遇を、定められた地域で大胆に行う規制改革制度で、東京圏、関西圏、福岡市・北九州市、仙台市、愛知県など、現在10区域が特区として指定されています。
  
平たく言うと、地域の困りごとをテクノロジーで解決する環境を地域ぐるみで構築していくもので、AI、ICT、センサー、ロボティクス、モビリティなどなど最先端技術を駆使した未来都市の実現を地域と事業者と国が一体となって目指すものです。
  
介護をはじめ都市再生、観光、雇用、農林水産など11の分野があり、介護分野では、持続可能な介護提供体制の確保や介護サービスの成長を重要課題とし、北九州市で、介護老人福祉施設に介護ロボットを導入する場合の設備要件緩和の規制改革に取り組んでいます。

(考察)提供されるサービスへの理解が必要か

こうしたスーパー/スマートシティに関連して、インテージリサーチ(東京都東久留米市)が認知度に関する意識調査を実施、その結果を公表しました。
この調査は、全国の16~79歳の男女1万802人を対象にしたインターネット調査で、スマートシティーの認知度、期待するサービス9分野(防災・減災、高齢者の見守りサービスなど)について尋ねたものです。
以下、考察と調査結果を紹介します。
  

【調査結果のサマリー】
・スマートシティーの認知度は50.3%で、「名前も聞いたことがない」が49.7%
・スマートシティーに対して期待するサービス分野は、「防災・減災」「高齢者の見守りサービス」「子どもの見守りサービス」
・スマートシティーの内容まで知っている人と名前を聞いたことがない人では、「交通」「通信ネットワークとセンシング技術」「防災・減災」への期待に大きな差

【考察】
分析者:説田 梨奈(ソーシャル事業推進部)
  
「スマートシティ官民連携プラットフォーム」が2019年8月、発足しました。全国536の地方自治体や民間企業などを事業実施団体として(9月2日現在)、新たなまちづくりが進められています。5月に可決された「スーパーシティ(改正国家戦略特区)法」もあり、今後、福祉や子育て、エネルギー、環境など、身の回りの事柄について、ICTなどの新技術を活用した持続可能なまちづくりが加速するものと思われます。
  
スマートシティーは、「Society5.0(※2)」の先行的な社会実装の場といわれています。内閣府によれば(※3)、Society5.0を少なくとも聞いたことがある割合は12.9%と、「SDGs」や「第四次産業革命」と比べると認知度が低くなっています。本調査において、Society5.0に関連するスマートシティーの認知度を尋ねたところ、約半数が「名前も聞いたことがない」と回答。スマートシティーという言葉も世の中に知られていないことが分かりました。
  
また、「スマートシティーの内容まで知っている人」と「名前を聞いたことがない人」では、スマートシティーに対して期待するサービスのうち「交通」、「通信ネットワークとセンシング技術」、「防災・減災」で特に差が大きいことが分かりました。スマートシティーのどのような分野、状況で効果が期待できるのか、「防災・減災」や「見守りサービス」以外についても、社会全体の認知を高めるとともに、提供されるサービスへの理解を深めてもらうことが必要と考えられます。
  
国や自治体がスマートシティーを政策として進めるだけでなく、地域住民の期待やニーズを吸い上げること、そして、住民自身も積極的に参加していくことで、コミュニティーに適し、ICTなどの新技術を活用した持続可能なまちづくりが可能になっていくのではないでしょうか。
  
※1 調査時にスマートシティーの捉え方について、次のように提示。「社会的な諸課題に対して、ICTなどの新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営など)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区を指す」
※2 サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)を指す
※3 「総合科学技術・イノベーション会議第5回基本計画専門調査会資料3第5期科学技術基本計画レビューとりまとめ(案)」

【問】あなたは、スマートシティーという言葉を知っていますか。

スマートシティー、半数が「知らない」。認知度向上はこれから

スマートシティーについて、「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」が11.8%、「名前を聞いたことはあるが、内容は知らない」が38.5%、「名前も聞いたことがない」が49.7%という結果でした。
  
約半数が「名前も聞いたことがない」と回答していることから、スマートシティーという言葉が世の中に知られていないことがうかがえます。

スマートシティーの認知度に関する意識調査

100万人以上の大都市で高い認知度

回答者の居住地都市の規模別にスマートシティーの認知度を見ると、人口が100万人以上の都市では「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」が15.0%と、100万人未満の都市に比べて高くなっています。
  
人口が100万人以上の都市には、スマートシティーを推進している東京都特別区(港区など)、横浜市、札幌市、京都市、さいたま市が含まれます。そのため、回答者の住んでいる自治体の地域性などが、スマートシティーの内容まで知っている割合に関係があるのではないかと考えられます。
  
また、性年代別で見ると(※4)、男性では「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」人が、全ての年代で女性より多く、特に50・60歳代での割合は2割弱と多くなっています。一方女性では、10歳代や40歳代でスマートシティーを知らない人が多い傾向にあります。男女間、世代間で日常的に触れる情報などに差があり、この認知度の違いが生じていると考えられます。

スマートシティーの認知度に関する意識調査

【問】スマートシティーに対して期待するサービスは何ですか。

スマートシティーに最も期待する分野は「防災・減災」。約5割が回答

スマートシティーに期待するサービス分野は、「防災・減災」が48.2%と最も高く、次いで「高齢者の見守りサービス」が45.1%、「子どもの見守りサービス」が38.0%となっています。
  
実際、スマートシティーに関連した防災・減災、見守りサービスはすでに、事業者から提供されています。また、これらのサービスが自治体から提供されている地域もあることから、今後より一層の充実が期待されます。
  
さらに、性年代別に見ると、「高齢者の見守りサービス」は50歳代以上の女性、「子どもの見守りサービス」は30~60歳代の女性の期待が高くなっています。しかし、どちらも同じ年代の男性からの期待は女性ほど高くないことから、育児・介護を実際に担うことが多い女性との温度差がうかがえます。
  
※スマートシティーという言葉を知らない回答者は、都市の抱える諸課題に対して、ICTなどの新技術を活用した持続可能な都市または地区をイメージした回答となっています。

スマートシティーの認知度に関する意識調査

スマートシティーの認知度によって、期待する分野に大きな差

スマートシティーという単語の認知度は5割程度と高くありません。そのため、認知度によってスマートシティーに期待するサービスが異なることが想定されます。
  
実際に、認知度別に期待するサービス分野を見てみましょう。「交通(3次元位置情報・自動運転・ドローンなど)」、「通信ネットワークとセンシング技術(5G、レーザー、センサーなど)」は、全体としての期待度は高くないものの、スマートシティーを認知している人の期待度が高くなっています。
  
さらに、スマートシティーについて「名前を聞いたことがあり、内容も知っている人」と「名前も聞いたことがない人」では、「交通(3次元位置情報・自動運転・ドローンなど)」、「通信ネットワークとセンシング技術(5G、レーザー、センサーなど)」に加え、「防災・減災」への期待で特に差が大きいことが分かりました。
  
こうしたことから、まずはスマートシティーがどのような分野、状況で効果が期待できるのか、「防災・減災」や「見守りサービス」以外についても、社会全体に広く知ってもらうことが必要と考えられます。

スマートシティーの認知度に関する意識調査