旭化成ホームズ(東京都千代田区)シニア事業推進部とシニアライフ研究所は、運営する自立~フレイル期シニア向け賃貸住宅「へーベルVillage(ヴィレッジ)」の入居者を対象にした「安心・安全・健康長寿応援メソッド」に対する追跡調査を実施、その結果を公表しました。
新サービスによる入居者の健康寿命延伸効果を確認
旭化成ホームズが運営する「へーベルVillage」は、元気な高齢者の安心・安全な暮らしを実現する住まいを目指したシニア向け賃貸住宅で2005年から提供を続け、2023年2月末時点で東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県での136棟1746戸が運営されています。
入居者の平均年齢は79歳で、75歳以上の後期高齢者が8割弱を占めていますが、介護保険認定を受けていない人が82%と健常者の割合が高いことも特徴となっています。
そうした入居者に2019年に実施したアンケートから、主な入居者となる後期高齢者では自身の健康認識とその実態に差があることが判明、高齢の元気な入居者に長く健康に暮らしていただくためには早めの介入を目的とした健康寿命の延伸に資するサービスを盛り込んだ住まいの開発が必要との発想から、「安心・安全・健康長寿応援メソッド」の開発に至っています。
2022年4月より導入を開始したこの応援メソッドは、介護・フレイル予防の第一人者である東京都健康長寿医療センター研究所 介護予防研究テーマ・高齢者健康増進事業支援室 研究部長 大渕修一氏と連携して、建物設計や相談員の関与内容、交流を生む仕掛けが一体となったもの。
介護スタッフなどは常駐せず食堂を不要とした事業形態で、設計(安全な暮らしと活動・交流を促す住環境) × 相談員(定期的に入居者を見守りイキイキとした暮らしを後押しする人) × しかけ(設備による見守りと交流のきっかけ)の3つで入居者の暮らしを後押しし、入居者自らが健康長寿の3条件(活動量・食事・交流)の行動を増やし健康長寿を実現することを目指したものです。
今回実施した調査は、新サービス導入開始当初と半年経過後での入居者の実態を追跡調査することで、新サービスの健康寿命延伸にかかわる効果を検証したもの。
その結果から、新サービスに携わる相談員の声掛け行動などが、自己効力感が低く自信を失いがちな高齢者を励まし入居者の意欲の高まりや意欲ある健康行動につながったことを把握。また、介護スタッフなどの常駐スタッフを置かずに、外出しやすい立地にあることや食堂などを設置せずキッチンや風呂、トイレなどを自室に完備して、自立した生活を促すヘーベルVillageの住まい方が、自立~フレイル期シニアの健康行動量を維持・増加するベースになることも改めて確認ができたとしています。
今回の調査結果を受け、大渕修一氏は入居者の健康寿命延伸の実現に有効であると評価を示しているとのこと。シニア向け賃貸住宅におけるひとつの方向性を示す結果といえそうです。
調査結果概要
(2023年3月20日付 旭化成ホームズ株式会社プレスリリースより抜粋)
健康寿命延伸につながる健康行動(活動量・食事・交流)を維持・向上した入居者割合は97%
回答を得た入居者のうち、活動量・食事・交流のすべて、もしくはいずれかの項目について、健康行動を維持もしくは増加した入居者の割合は97%と、高い値を示しました。
交流は新サービス導入初期から健康行動をおこなえていた入居者が多い項目でしたが、半年後も高い割合で健康行動を維持できていることが分かりました。また、行動していなかった状態から行動に移せた入居者の割合では、食事が25%と最も多い結果となりました。
具体的な入居者の行動変化を見ると、活動量では外出頻度が毎日1回以上と答えた割合が15%増加し58%、食事では調理頻度が毎日2回以上と答えた割合が15%増加65%となっており、相談員の応援行動やヘーベルVillageの設計、仕掛けが、暮らしの中の健康行動を後押ししていることが分かりました。
基本チェックリストによるフレイル該当者数が約5%減少し、入居者の健康度が向上
入居者の健康状態を確認する基本チェックリストの結果を調査期間内で比較したところ、半年経過後には、約5%の入居者がフレイルの状態からプレフレイル、もしくはロバスト(頑健・健常)の状態へと向上したことが分かりました。
新サービス導入による健康行動の維持・増加により、フレイルが減少しており、フレイルを予防し健康寿命が延伸する可能性が示されました。
調査報告書
https://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/kurashi/report/K061.pdf
元気なシニア向け賃貸住宅「へーベルVillage」運営サイトURL
https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel-senior/index.html/