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介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に 調査

介護施設に入居する前はどのような介護を受けていたか、入居前後に見られる変化は?…そんな実態の把握にLIFULL seniorが「介護施設入居に関する実態調査」を実施、結果を公表しました。「要介護度は平均で2.7」「認知症の症状ありが8割以上」といった実態が見えてきました。結果を紹介します。

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調査結果サマリー

今回の「介護施設入居に関する実態調査」は、老人ホーム・高齢者住宅検索サイト『LIFULL介護』を運営するLIFULL seniorが、介護付き有料老人ホームなど12種類の施設に対し、家族・親族の中で1年以内に介護施設入居者がいる人、家族・親族の介護施設の情報収集や選定に関与した人を対象に行ったもの。

施設を「有料老人ホーム」「高齢者向け住宅」「介護保険施設」の3つのカテゴリーに分類し(※)集計した結果、入居時の「年齢」、「要介護度」、「認知症の有無」は以下のとおりになりました。

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

全体では、介護施設入居時の年齢で最も多いのは80代、要介護度は平均で2.7、入居時に認知症の症状ありが8割以上という結果に。有料老人ホーム、高齢者向け住宅の2つのカテゴリーでは、要介護度1の割合が最も高い傾向にある結果が出ています。

(※)調査上の分類
「有料老人ホーム」:介護付き有料老人ホーム/住宅型有料老人ホーム/健康型有料老人ホーム
「高齢者向け住宅」:サービス付き高齢者向け住宅/高齢者向け賃貸住宅/シニア向け分譲マンション/軽費老人ホーム
「介護保険施設」:特別養護老人ホーム/介護老人保健施設/介護療養型医療施設

調査内容

入居施設の種類(SA)※過去1年の直近入居施設

入居した介護施設をカテゴリー別で見ると「有料老人ホーム」49.9%、「介護保険施設」30.4%、「高齢者向け住宅」10.2%でした。個別で見ると、「介護付き有料老人ホーム」が39.3%と一番多く、続いて「特別養護老人ホーム」16.7%と、上位2つが全体の半数以上を占めています。

<入居施設の種類>

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

<入居施設:詳細>

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

被介護者の施設入居前の状況

1.年齢(SA)

入居時の年齢については、80代が最も多く46.5%、続いて90歳以上が23.8%、70代が21.8%でした。また、80歳以上で入居する人が全体の約7割を占めることがわかりました。

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に
2.居時要介護度(SA)

入居時の被介護者の介護認定は、段階別で見ると、要介護1が最も多く17.6%、要介護2が16.3%、要介護3が14.7%、要介護4が12.9%、要支援1が11.4%という順になりました。介護保険施設である、特別養護老人ホームへの入居要件を満たさない要支援1~要介護2までの合計は、54.5%と半数占めることが分かりました。

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

3.認知症症状の有無・内容(MA)

入居時に、被介護者に認知症の症状があったと答えた人は80.8%でした。症状は、「物忘れ、記憶力の低下」が60.2%と最も多く、続いて「理解力、判断力の低下」が48.8%であることが分かりました。その他にも「被害妄想、物取られ妄想」や「徘徊、外出して戻れなくなる」なども10%を上回りました。

<被介護者の施設入居前の状況_認知症症状の有無(全体)>

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に
<被介護者の施設入居前の状況_認知症症状の有無_内容別(全体)>

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

 

4.医療行為の有無・内容(SA)

入居時に被介護者が医療行為を受けていたと答えた人は約4割で、施設のカテゴリー別にみると高齢者向け住宅が最も多く、入居した方の52.6%が医療行為を受けていました。医療行為の内容で最も多かったのが「インスリン注射」8.9%でした。続いて「とこずれ」7.8%、「喀たん吸引」6.5%となりました。

<被介護者の施設入居前の状況_医療行為の有無>

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

<被介護者の施設入居前の状況_医療行為の有無_内容別(全体)>

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

 

5.介護内容(MA)

入居前に、介護者が行っていた介護内容で一番多かったのが「調理など食事の準備・提供」で、49.0%と半数近くを占めています。続いて「買い物の補助、代行」40.9%、「移動の介助」40.5%などがありました。

<被介護者の施設入居前の状況_介護の内容>

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

 

6.介護頻度(SA)

入居前に、介護者が介護をしていた頻度は全体で、「ほぼ毎日」が41.4%と4割以上を占めました。なかでも介護保険施設へ入居した人の介護者51.5%と、半数以上の人がほぼ毎日介護をしていたことが分かりました。

<被介護者の施設入居前の状況_介護頻度(全体)>

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

<被介護者の施設入居前の状況_介護頻度(有料老人ホーム計)>

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

<被介護者の施設入居前の状況_介護頻度(高齢者向け住宅計)>

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に
<被介護者の施設入居前の状況_介護頻度(介護保険施設計)>

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

 

7.入居前 介護で大変だったこと

「体力や気力が持たないと思った」、「精神的な辛さやストレスを感じた」が上位を占め、介護者は介護において体力的、精神的な負担が大きいことがうかがえました。また「介護費用などの経済的負担が大きかった」が3位にあがっており、経済的な不安も精神面・体力面での苦労と同様に介護者に重くのしかかっていることが想像されます。

<入居前 介護で大変だったこと 1~15位(全体)>

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

8.入居を考えた出来事(FA)

施設入居を考えるきっかけとなった出来事については、「自宅介護が困難だった」13.9%が最も多く、「認知症の症状が現れた」10.6%、「体力・身体機能が低下してきた」8.9%、「自分のことをできなくなった」6.6%など被介護者の状態の変化によるものが多くありました。また「介護による疲れを感じた」6.2%と介護者の状態に起因する理由や、介護施設に空きがあった、近くにあった、医療体制が整っていたなど施設に起因する理由もありました。

<入居を考えた出来事(全体)>

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

 

被介護者、介護者の施設入居後の状況

1.被介護者の入居前後の変化(MA)

施設への入居後に見られた被介護者の変化については、「性格が穏やかになった」20.6%、「体や病気の症状が改善した」17.9%、「明るくなった」17.6%、「笑顔が見られるようになった」17.1%が上位にあげられ、ポジティブな変化が多いことが分かりました。一方、「認知症の症状が悪化した」13.2%、「体力が落ちて、動けなくなった」11.1%、「あまりしゃべらなくなった」9.1%など、良くない傾向がでているケースもありました。

<入居者の入居前後の変化(全体)>

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

2.介護者の入居前後の変化(MA)

被介護者の施設入居により、介護者に生まれた変化については、「介護疲れやストレスが解消した」50.5%が最も多く、「体力や気力の不安が解消した」25.0%、「夜眠れるようになった」22.6%、「気持ちが前向きになった」22.6%などポジティブな変化が多くありました、一方「経済的な負担が重くなった」19.5%、「家族間の関係が悪くなった」4.6%などのネガティブな変化も見受けられました。

<介護者の入居前後の変化(全体)>

介護施設入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上に

今回の調査を受けて「LIFULL介護」編集長 小菅秀樹の所感

介護施設に入居するのは要介護度が重度になってから、というイメージを漠然と持っている人が多いのではないでしょうか。昨今、要支援の高齢者だけでなく、要介護1・2の方も「軽度者」と括られる傾向にあります。しかし、要介護1・2の方は日常的な立ち上がりや歩行時の転倒の危険性、さらに認知機能の衰えによる理解力・判断力の低下がみられる方も多く、誰かの手をかりずに生活することは容易ではありません。今回の調査で「入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上」という結果がでたことで、自宅での介護が介護者の生活に大きな影響を与えていることが分かったと思います。

また、施設入居の時点で「認知症の症状のある方が約8割」という調査結果からも、認知症介護の難しさがうかがえます。施設へ入居した方の介護者のうち、4割が「ほぼ毎日介護をしている」ということから、介護者の肉体的・精神的な負担が想像以上に重いという点も見逃せません。さらに、遠距離介護をする子どもや、老老介護世帯が増えるなど、家族形態の変化も施設入居に至った一因と考えられます。

要支援・要介護者に向けた介護サービスの拡充や施設整備は進んでいるものの、介護者である家族へのケアが進展しません。18歳未満の若者が介護を担う「ヤングケアラー」も社会問題となりつつあるいま、介護者の負担軽減のためにも施設入居という選択肢はより一般化していくと考えられます。

 

調査概要
■調査方法:WEB調査
■調査エリア: 全国 *以下エリア10区分
①北海道 ②東北(6県:青森/岩手/宮城/秋田/山形/福島) ③首都圏(1都3県:東京/神奈川/埼玉/千葉) ④その他の関東(3県:茨城/栃木/群馬)
⑤北陸・甲信越(6県:新潟/山梨/長野/富山/石川/福井) ⑥東海(4県:愛知/静岡/三重/岐阜) ⑦京阪神(2府1県:大阪/京都/兵庫) ⑧その他の関西(3県:奈良/滋賀/和歌山)
⑨中国・四国(9県:鳥取/島根/岡山/広島/山口/徳島/香川/愛媛/高知) ⑩九州・沖縄(8県:福岡/佐賀/長崎/熊本/大分/宮崎/鹿児島/沖縄)
■対象者条件
・ 20~79歳 男女 ※未既婚不問、有無職不問
・ 家族・親族の中で、「1年以内の介護施設(*) 入居者」がいる方
・ 家族・親族の「介護施設」の選定や情報収集に関与した方
*介護施設:介護付き有料老人ホーム/住宅型有料老人ホーム/健康型有料老人ホーム/軽費老人ホーム/サービス付き高齢者向け住宅/特別養護老人ホーム/グループホーム/高齢者向け賃貸住宅/シニア向け分譲マンション/ケアハウス/介護老人保健施設/介護療養型医療施設
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