病気で思うように動けなくなった元バリスタの願いを叶えようと、おいしいコーヒーを淹れるなど手先を使った作業が可能な分身ロボットを開発するプロジェクト「テレバリスタプロジェクト」が始まりました。
主役となるのは、それぞれ分身ロボット・協働ロボットとして活躍の場を広げる「OriHime(オリヒメ)」と「NEXTAGE(ネクステージ)」の両ロボット。お客とのコミュニケーションは分身ロボットである「OriHime」、コーヒーを淹れるなど手作業は「NEXTAGE」を介し、まさにTeleBaristaを実現しようというものです。
体が不自由でも自分らしく、社会参加し続ける可能性が広がる
本プロジェクトのきっかけは、「OriHime」の開発を手掛けるオリィ研究所が2018年から公開実験として開催している「分身ロボットカフェ」でのこと。このカフェでは、身体が不自由だったり外出が困難な人々がパイロットとして、遠隔操作で分身ロボットを動かし接客するなど、実際にカフェのサービススタッフとして働く、新たなテレワークの可能性を模索する社会実験です。
そんなOriHimeのパイロットで「お客様のオーダーを取ってコーヒーをお届けするだけでなく、お客様の好みに合わせてコーヒーを淹れたい」と願う元バリスタの思いを実現したいという構想がありました。
そこに協力を申し出た企業が「NEXSTAGE」を開発する川田テクノロジーズ。オリィ研究所の理念に賛同し2019年からの分身ロボットカフェのスポンサーでもあり、グループ企業のカワダロボティクスが手掛ける「NEXTAGE」の“人と一緒に働ける”コンセプトが構想と一致することから共同開発を進めるに至ったということです。
両ロボットの組み合わせで、視線入力やスイッチなどのインターフェースを用いることで、OriHimeの操作者がNEXTAGEを遠隔操作ができるようになり、OriHimeだけではできなかったバリスタやバーテンダーのような手作業が可能になります。
重度肢体不自由の方でも働き方の選択肢を広げ、その人に備わる技量や人間性を活かしながら新たな社会参加の形が実現されることになります。
オリィ研究所 代表取締役所長・吉藤健太朗氏コメント
「川田テクノロジーズ様・カワダロボティクス様と出会った時からやりたいと思っていた、遠隔でお客様に珈琲を淹れるテレバリスタプロジェクトがいよいよ始まります。たとえ身体が動かせなくなっても、誰かに自分ならではの味、ならではの時間を楽しんでもらう事ができる可能性を研究していきます」川田テクノロジーズ 代表取締役社長・川田忠裕氏コメント
「この度、オリィ研究所さまと共にテレバリスタプロジェクトを始動させることができましたこと、とてもうれしく思います。すでに、同社の分身ロボットは、家から出られない人でもカフェで仕事ができることを証明していますが、今回のプロジェクトではOriHimeとカワダロボティクスのNEXTAGEがタッグを組むことで、パイロットさん達がもっともっと輝けることを目指します。まだスタート台に立ったばかりですが、テレバリスタのこれからの進化にワクワクしています」
「テレバリスタプロジェクト」で開発された分身ロボットは今後の分身ロボットカフェに登場し、バリスタ経験のパイロット操作によりコーヒーを淹れる仕事も行ってく予定です。
オリィ研究所が開発している分身ロボット。
PCやタブレット、スマートフォンで手軽に操作でき、OriHimeの設置、持ち運び利用が簡単なのが特徴で、育児や介護、身体障害などで会社に身体を運ぶ事が困難な方のテレワークや、病気で学校に通えない児童・学生の遠隔教育ツールとして、その場に居るかのようなコミュニケーションを実現し、全国で使われている。
NEXTAGEは「人と一緒に働くヒト型ロボット」というコンセプトのもと、製造現場の安全性確保と生産性の向上を目的として、カワダロボティクスにより開発された汎用ヒト型ロボット。2010年の販売開始以来、その高い汎用性を活かし、電機・電子部品、医薬品・食品・化粧品など幅広い業界で、組立・検査・梱包などの現場に導入されている。
▼関連リンク
オリィ研究所 https://orylab.com/
川田テクノロジーズ https://www.kawada.jp/