自動車部品市場で実績あるTPR(東京都千代田区)が新市場となる介護分野に向け開発したAIコミュニケーションロボット『CoRoMoCo(ころもこ)』を3月の東京ケアウィーク「次世代介護テクノロジー展」(東京ビッグサイト)で展示紹介し関心を集めました。
介護士の負担を軽減する視点から開発された“抱っこロボット”
東京ケアウィークは、介護・医療・健康からテクノロジー・まちづくりまで 豊かな超高齢社会を支援する4つの専門展で構成された展示会。2023年はおよそ330社・団体が出展し、3月22日から3日間東京ビッグサイトで開催されました。
TPRが開発したAIコミュニケーションロボット『CoRoMoCo(ころもこ)』は、抱っこすることで「バイタル」や「気持ち」の測定ができるのが特長。入居者と会話でコミュニケーションできることから、入居者を癒したり気持ちを前向きにして自ら行動を起こすように促してくれる。ストレスケアをサポートすると同時に、介護士の労務負担を削減してくれる効果が生まれます。
“抱っこロボット”“かまってちゃんロボット”との愛称もある『CoRoMoCo』。「いっしょに遊ぼ~」「好きなおかずは何ですか?ご飯を食べに行きましょー」「そろそろお風呂の時間だよ。お風呂に入りましょ~」などと行動を促したり、入居者の反応に合わせた会話も可能。もふもふ感もあり、ついさわってしまったり抱きたくなるつくりになっています。
測定するには抱っこしたりさわってもらうことが第一なので、そういう意味では計算されたスタイルになっているわけです。
計測は、ロボットの各所に実装されたセンサーでおこないます。
- 左目:笑顔度を測定するカメラ
- 口:指を甘噛みして心拍測定
- 左脇:心拍測定
- 本体の動き:抱っこ検知/揺れによる感情表現
- 本体に格納:スピーカー、マイク
サイズ 高さ:273mm 奥行:148mm 幅:182mm 重量:約1kg
介護施設では食事、入浴、就寝など日常の生活シーンに加え、測定やレクリエーションといった時間もありますが、応じたがらなかったりストレスを感じてしまったりする入居者は少なくありません。
介護スタッフにも大きな負担となるこうした対応が解消できることは、単に負担が軽減されるだけではなく、入居者とのコミュニケーションの質の向上や業務の円滑化にもつながりそうです。
グループが経営する介護施設で得た課題・知見を反映
TPRはこれまで自動車部品市場を中心に展開してきた企業。既存事業の市場にとらわれない自由な発想で新事業の展開を計画しているところで、AIコミュニケーションロボットの開発は、未来洞察(未来年表作成等)から予測した市場である「AI・ロボットと暮らす社会」に向けたアプローチとなっています。
同社グループには介護施設「絹の郷」を経営しており、介護分野でも接点があることもきっかけとなっています。
『CoRoMoCo』開発には「絹の郷」でのニーズ調査から得た課題と知見をもとに、介護士の業務負担軽減と高齢者のストレスケアに貢献したいという想いが注ぎ込まれたロボット。現状は試作段階で、本格的には2023年内の事業化を目指しているところ。さらなる付加機能も期待され、コミュニケーションロボットのなかでも、他製品とは一線を画す存在になりそうです。
TPR株式会社
https://www.tpr.co.jp/