文部科学省が実施する就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業に採択された小樽商科大学（小樽市）とさくらコミュニティサービス（札幌市）による「介護ミドルマネジャー育成プログラム」が10月に開講となります。介護分野のリーダーを育成するプログラムの概要を紹介します。
社会的関心の高い分野の人材育成を推進
新型コロナウイルス感染症の影響で雇用構造の転換が進展するなか、非正規雇用労働者、失業者等への支援は喫緊の課題となっています。文部科学省による「就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業」は、こうした課題解決に向け、全国の大学が労働局・ハローワークや企業等との協働で、即効性の高いリカレント教育プログラムの開発から修了者の就職の支援まで提供する事業を促進するもの。
プログラム分野は介護・医療のほか、DX（AI・IoT）、地方創生、女性活躍を中心に、社会的関心の高いを基礎的なものから応用的なものまで全国で、現在22都道府県、63プログラムが採択されています。
介護分野の喫緊の人材課題に貢献するプログラム
介護分野における人材の課題はかねてから指摘されていますが、厚生労働省はこの7月、高齢者数がピークになる2040年には介護人材69万人が不足するという推計結果を新たに公表しました。
人材確保対策の一つとして「離職防止・定着促進・生産性向上」を掲げていることからも、依然介護職員の早期離職率の高さが問題視されており、これに関連して介護施設・事業所の組織構造、管理職・経営者のリーダーシップといったマネジメント能力に係る問題も多く指摘されています。
しかもこのコロナ禍で、介護施設・事業所の経営は極めて厳しい状態が続くなか、来たる高齢者数ピーク到来に向け、サービス基盤を強化し、地域で暮らす高齢者を支える持続可能な施設・事業所運営が同時に求められています。
そこには、管理職・経営者のリーダーシップといったマネジメント能力を備え、介護業界そのものを牽引していける人材が不可欠。小樽商科大学ビジネススクール（小樽市）とさくらコミュニティサービス（札幌市）が連携して提供する教育プログラムは、そうした人材育成に向け、介護マネジメントに資する実践的な知識・技能を有し、介護業界そのものを牽引していける高度人材の育成を目指すものです。
小樽商科大学大学院商学研究科アントレプレナーシップ専攻は、東北以北唯一のビジネススクールとして2004年に設置。経済活性化を最優先課題とする北海道において、ビジネスの現場に内在する課題を発見し解決することのできるビジネス・リーダー、あるいはビジネス・イノベーターの育成に取り組んでいる。
■さくらCSホールディングス株式会社
「世代を超えた、心の通うコミュニティを再現したい」という思いから、2002年に創業。「高齢者生活支援」「介護人財の養成」「就業サポート」のコミュニティ創成の3大事業を柱に、更なる発展に向けて「グローバル人財支援」「ITソリューション開発」「子育て支援」など新事業を展開している。
「介護ミドルマネジャー育成プログラム」とは
小樽商科大学ビジネススクールが開講している履修証明プログラム「ヘルスケア×マネジメントコース」が“経営学・マネジメントの領域”を、さくらコミュニティサービス教育事業部が“介護経営・ケアマネジメントの領域”を担当し、計64時間の教育プログラムを提供する。
また、さくらCS人材サービス事業部が転職・就職活動の支援を担当し、受講者のキャリアサポートを実施する。
対象は、新型コロナの影響で失業等をしてしまった人で、異業種のマネジメント経験者や業種を変えてチャレンジしたい方を想定。また、現在介護職員として働いている人たちも受け入れる。プログラムはキャリアサポートも含め全てオンラインで実施し、介護技能実習もVR（Virtual reality）コンテンツにより非接触で行う。今年度の受講料は無料。
なお、同様に採択された介護に関連する事業には、千葉大学「地域密着とICT活用でコロナ禍に打ち勝つ医療・介護スタッフリカレント教育訓練プログラムの開発・実施」、兵庫大学「介護員養成研修」があります。
▼関連リンク
文部科学省 令和2年度「就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業（就職・転職支援のためのリカレント教育プログラムの開発・実施）」の採択結果
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2021/mext_00617.html
