存在するあらゆる業界に大きな影響を与え続けている新型コロナ。要介護者とのふれあう時間が避けられない介護現場では、その接し方にさまざまな工夫を強いられています。そうした介護現場のリアルな状況が垣間見れるレポートが公開されました。
レポートは、大阪で福祉の人材育成やスタッフ派遣を行うニッソーネットが、同社に登録している介護派遣スタッフを対象に行ったアンケート結果によるものです。
【 調査期間と方法 】2020年9月5日~9月19日、インターネット・モバイル回答方式
【調査対象と回収数】当社登録の介護派遣スタッフ、回収数150名
サマリー
- 現場で働く介護スタッフの8割以上(82.0%)が、スタッフの数が不足していると回答。特に「大変不足している」は約3割(28.7%)となり、人手不足が深刻な状況に。
- 長く働ける介護の職場の条件は、1位「職場の人間関係が良い」(40.7%)、2位「納得のいく賃金」(29.3%)。3位の「希望通りのシフトで働ける」は昨年比6.7pt増の16.0%
- 「緊急事態宣言中」・「解除後(現在)」ともに最も多かったのは、「利用者のレクや外出、面会などが制限された」(75.3%→65.3%)
- 「マスクやアルコール消毒液などの衛生用品の不足」は、58.0%から17.3pt大幅ダウンの40.7%となり、品薄感は改善傾向に。
- 介護現場においてオンライン化が進んだという回答は、4.7%から5.3%とほぼ変わらず。介護の仕事は、オンライン化しにくい業務も多数。
アンケート Q&A
Q1. 働いている職場では、現在、介護スタッフの数は足りていると思いますか?(単一回答)
介護スタッフの過不足感を聞いたところ、8割以上(82.0%)が介護スタッフの数が不足していると回答。特に、「大変不足している」という回答が約3割(28.7%)にも上りました。Q2の結果からもわかるように、コロナ禍での対応業務が増えたことで負荷がさらに高まり、介護現場では深刻な人材不足に陥っていることがうかがえます。
Q2. 4月7日に国内で初めて緊急事態宣言が発令されました。
「緊急事態宣言中」と「緊急事態宣言が解除された現在」の職場(介護現場)において、新型コロナウイルスによって特に影響があったことは?(複数回答)
緊急事態宣言中に比べ、解除後の現在は全体的にポイントが下がっていることから、影響が少なくなってきていることがうかがえます。特に大きな変化が見られたのは、「マスクやアルコール消毒液などの衛生用品が不足した」が58.0%から40.7%となり、17.3ptと大幅に減少した点です。衛生用品の品薄感は緩和されてきているようですが、依然として約4割(40.7%)で不足感があることがわかりました。
一方、「他業界から介護未経験の新しいスタッフが入ってくるようになった」は14.0%から2.7ptの微増で16.7%となりました。コロナ禍の雇用不安が長期化することで、今後、さらに割合が高くなることが予測されます。また、「会議や研修・採用面接など、職場・業務のオンライン化が進んだ」は4.7%から5.3%とわずか0.6ptしか増えておらず、介護現場は、オンライン化しにくい業務が多いことがわかります。
Q3. 新型コロナウイルスの介護現場への施策として、最優先で行ってほしいことは?(単一回答)
「介護スタッフへの慰労金の増額支給」(44.7%)、「利用者や介護スタッフの優先的なPCR検査」(35.3%)の順に多い結果となりました。新型コロナウイルス感染症に対応する医療機関、介護施設、障がい者施設に勤務する職員に対し、国から最大20万円の慰労金支給が決定しています。
感染リスクを低減させるため、介護現場では日々対応に追われていますが、そのような負担に対して、慰労金の増額支給を求める声が多いことがわかりました。
Q4. 長く働ける介護の職場の条件として、最も求めるものは?(単一回答)
「職場の人間関係が良い」(40.7%)が最も多く、次いで「納得のいく賃金」(29.3%) となりました。上位2つで7割(70.0%)を占め、2019年の介護スタッフアンケートと同様の結果になりました。介護の職場では、1人の利用者に対して数名のスタッフが関わるなどチームでケアする仕事が多いため、チームワークが重要になるようです。
一方、「希望通りのシフトで働ける」は2019年から6.7ptアップの16.0%となり、変化が見られました。また、全体の割合からすると僅かではありますが、「教育・研修制度の充実」は1.8%から4.0%と2倍以上アップしました。
Q5. ウィズコロナの生活の中で、あなたの一番の悩みは?(単一回答)
「家族や友人と自由に会えない」(26.0%)や「遊びや旅行に出かけられない」(23.3%)といった外出や行動の制限に関する項目や、「コロナ感染が怖く心理的に不安」(23.3%)といった項目が上位を占めました。