介護分野で活躍する人材教育で、外国人を対象にVR(バーチャルリアリティー)を駆使したオンライン授業サービスが、インドネシアで採用されることが決定しました。VRソリューションを提供するジョリーグッド(東京都中央区)の「CareVR」というサービスで、インドネシア最大規模の人材データベースを保有するセティア マネジメント(愛知県名古屋市)の提携する送り出し機関での導入が決定したもの。これでCareVRの導入国は、ベトナム、ミャンマーに次ぐ3ヵ国目の導入となりますが、海外の受講生に対して日本にいる講師がオンライン授業を実施するスタイルは今回が初となる試みです。
介護教育VR「CareVR」ってどんなサービス?
この外国人材介護教育VRサービス「CareVR」(ケアブイアール)は、介護職を希望する外国人を対象に、入国前にVRでトレーニングすることができる教育ソリューション。実際の日本の現場でのリアルな介護の流れを、介護士や高齢者の視点で360度体験学習が可能です。一般社団法人e-Learning Initiative Japanなどが主催するeラーニングアワード内のイベントである日本eラーニング大賞において、2019年のグランプリを受賞した介護研修VRサービス「ケアブル」という評価の高い仕組みをベースに、外国人労働者向けに再構成されたものです。
コンテンツはVRの特性を活かし、テキストでは理解しにくい暗黙知などの「コミュニケーション」、入浴や食事などの「介助技術」といった、日本式介護技術の習得が効率化するプログラムで構成されています。リアルな日本の介護現場が事前に体験できることで、就業後の早期退職の防止や日本文化へのスムーズな順応が期待されています。
コロナ禍でオンライン授業の普及が進む
インドネシアでは、新型コロナウイルスの影響で国がオンラインでの教育を推進しており、大学や送り出し機関では、すでにオンライン授業が導入され始めています。そうしたなか、入浴や移乗などの介助技術に加え、相手の気持を配慮したコミュニケーションを学習する介護の教育は、実習が行えないことが課題でした。
また現地教育であっても、日本のリアルな介護現場をイメージするのが困難で、技能を習得するには多くの時間を要していたこと、オンライン授業であってもコミュニケーションの課題が解消されずに残されていました。
VareVR体験会の参加者のコメント
ギランさん「今日VRで見たものはまさに介護現場そのものでリアル。インドネシア人は介護職に馴染みがないので、勉強する時テキストだけでは想像しにくいが、このVRを使えば理解がしやすくなると思う。早くインドネシアに導入して欲しい。」
イヴァナさん「利用者さんの視点を疑似体験することで、どうやって介護をしたら利用者さんが喜んでくれるのかを理解することができました。」
アユさん「ものすごい臨場感!テキストだけだと分かりにくいことがVRだと簡単に理解することができます。」
アナスさん「遠隔で授業ができるのは素晴らしい。内容も分かりやすく、項目によって英語の説明もあった。特に今のようなパンデミック時期にはとても貴重な学習ツールだと思う。」
セティア マネジメント代表取締役 矢部将勝さんコメント
「あまり知られていませんが、インドネシアはEPA(経済連携協定)による介護人材の最初の送り出し国であり、EPA介護福祉士の受け入れ人数でも世界ナンバーワンの介護人材の宝庫です。しかし国民の平均年齢が29歳と若く、介護という仕事が身近ではない環境で、座学だけで理解するのは大変です。そこでVRを使えば、臨場感を持って現場を「体感」し、海外にいながら実践的理解を深めることができると思いました。
現在のコロナ禍では、インドネシアでも大規模社会的制限(PSBB)により、多くの学生達が自宅待機を強いられています。彼らの「学び続けたい」という期待に応えたいと思ったのがVR導入の大きな理由の1つです。VRがあれば場所も時間も選ばず、効率的な学習を継続できる。正にwith/afterコロナのニューノーマルの世界においてVRこそが学習の最適解だと考えています。」
今後は、同時に接続できる規模の拡大や新たなシステムの開発を進め、インドネシアの外国人労働者の教育向上を目指し、送り出し機関や日本語学校、大学、そして国内で外国人労働者を受け入れる介護施設へサービスを提供していくとしています。
▼関連リンク
「CareRV」詳細・お問い合わせ https://carevr.jp/
セティア マネジメント株式会社 https://setia-mgmt.co.jp/
株式会社ジョリーグッド https://jollygood.co.jp/