他業界に比べ遅れ気味の介護・福祉業界のIT化を促進しようと、九州工業大学から誕生したスタートアップ会社・合同会社AUTOCAREが新たに「介護ITインストラクター」資格を設立し、資格が取得できるようになるオンラインでの勉強会を始めました。
新型コロナウィルスを契機にIT化の機運が高まる
すでにあらゆる業界で進んできたIT化ですが、その対応が遅れているとされるのが介護業界。介護従事者はどうしても要介護者と対面接触が避けられませんが、感染が拡大する新型コロナウイルスの感染予防との両立に対し、積極的なIT化の機運が高まっています。IT化により効率化が図れることで、対面時間の削減につながるというメリットが享受できるようになります。
九州工業大学が行った研究調査によると、以下の結果が得れらています。
(井上創造研究室による、介護付き有料老人ホームを対象とした研究調査)
- 手書きで一人1日あたり約57.6分かかっていた介護記録が、IT導入によって約34.6分に減少
- センサから行動を認識するAIによってさらに約23.8分に減少
- 年676万円分の人件費に相当する時間の削減が可能
30分に一度、24時間記録を続けるグループホームなどは、さらにその数倍の効果が見込まれるとされています。
効果が見込まれながらもIT化を阻む大きな壁が。それはITを活用するべく介護従事者その人。ITに苦手意識がある、ハナから機器にさわろうとしない、など敬遠する人が決して少なくないというわけです。導入から運用までITベンダーに丸投げでは、運用コストが嵩むばかり。ベンダー側にしても、不足しつつあるITエンジニアの資源の浪費につながってしまいます。
オンライン勉強会で「初級」認定
そんななか、登場した介護ITインストラクター資格は、介護・福祉業界に関わる方々がITの基礎を理解し、教育スキル、統計・業務改善・データサイエンススキルまで、介護・福祉においてすぐに活用できるITスキルを、幅広く身に付き、ITシステムの導入・運用までを自らで行うことができることを認定する資格となります。
最新の学習方法である、受講者が発表をしながら進める「反転学習」を取り入れ理解を定着させるスタイルが特徴で、ITスキルとインストラクション能力が身に付くプログラムとなっています。
●初級:基礎的ITスキル
●標準:IT教育スキル
●上級:統計・業務改善スキル
「標準」までの修了でITシステムの導入・運用の一端を担うことが可能に
「上級」レベルでは、 文部科学省「Society5.0に対応した高度技術人材育成事業」と連携しており、介護IoT演習として種々のIoT・AI・データサイエンスを組み合わせた介護演習が受けられます。さらに高度な大学院初級レベルの技能が身に付くことになります。
介護ITインストラクターの概要
<介護ITインストラクターになるには?>
◎「初級」レベルの認定…「介護ITオンライン勉強会」(下記参照)に10回の参加、3回以上の発表
◎「標準」レベルの認定…「標準」のためのセミナー受講(1日)後、修了試験に合格
◎「上級」レベルの認定…OJT(On the Job Training)を受け、修了試験に合格
<介護ITオンライン勉強会とは?>
介護・福祉業界に関わる方々が、ITの基礎からIT機器運用ノウハウまで学べる勉強会。最新の学習方法の一つである「反転学習」を取り入れた点が特徴。回ごとに決められたテーマに対して10分程度の発表し、大学の講師や参加者が質問やコメントしながら進みます。知識の定着とプレゼンテーション、インストラクション能力が同時に高まることが期待されます。
アドバイザー:
本山 晴子(有限会社コ・リード代表・九州共立大学・西日本工業大学非常勤講師)
井上 創造(合同会社AUTOCARE CTO・九州工業大学教授)
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・初めての方:無料
・発表者:無料
・お知り合いを紹介された方:無料
・2回目以降で、発表をされない方:1,000円(早期)、1,250円(直前)
発表するか、誰かを紹介すれば、最後まで無料で、介護ITインストラクター(初級)を修了することができる、フリーミアムな体系です。
▼関連リンク
合同会社AUTOCARE https://autocare.ai/