AIを利活用した介護・福祉用具関連サービスを開発、販売するエクサホームケア(東京都港区)が、神奈川県藤沢市と共同で2022年8月から実施した歩行分析AIサービスの実証事業を分析、73%の事業所でサービス利用者の運動意欲向上、スタッフ間のデジタル活用で月500分業務短縮するなど効果が報告されています。
歩行分析の客観的な結果を共有することで運動意欲向上に効果
藤沢市での実証事業は2022年8月1日から10月31日まで、市内の15事業所で実施したもの。
エクサホームケアが提供している高齢者向け身体機能分析AIサービス「CareWiz トルト」を活用し、入所者の歩行状態をAIで分析・点数化しています。
そのうち、73%の事業所が以下のような提供サービスの質の向上に効果を感じたと回答しています。
(1)客観性のある指標で、時間経過に伴う変化も把握できる
(2)レポートにおすすめの運動が提示され、それを基にした運動を提案しやすい
(3)点数の改善が利用者の意欲向上につながる
(4)レポートを家族に共有することで不安を解消できる
CareWiz トルトは、スマホで動画を撮るだけで簡単に身体機能を可視化することができる、AI技術や理学療法士の知見を活用した身体機能分析AIサービス。
わかりやすいコミュニケーションシートで表示される結果はそのまま利用者や家族、ケアマネジャーへの案内に利用可能。スタッフ間で動画をとおして意思疎通を図ることで情報連携の円滑化を実現。
https://carewiz.ai/toruto/
デジタル情報活用で資料作成や連絡時間を大幅削減
また実証では、施設内のスタッフ間の連携の支援についての効果検証もおこなわれています。
CareWiz トルトによる利用者動画やレポートをメールなどで他のスタッフに展開することで、スタッフ間での適切な引き継ぎ、属人的な状況の改善、経験の浅いスタッフへの効果的な支援につながることが期待できます。
今回活用を推進した事業所では、1か月あたり500分の業務時間短縮するなど効果を記録。具体的にはケアマネジャーなどの関係者に利用者の状況を伝えるための資料の作成や電話連絡が削減されています。
業務時間の短縮にはつながらなかった事業所に対しても分析。
背景として、ケアマネジャーをはじめ介護関係者の多くがレポートなどの情報を受け取るメールアドレスを持っていない、持っていても日常的なコミュニケーションツールとして活用していないといった状況があり、インフラ面でのIT化に課題が残された結果となっています。
今回の実証で「効果が感じられない」とした9%の事業所に対しては、
「より長い期間の利用や、得られた客観的指標をもとに適切な介入を行なっていくことで中期的に利用者の状態改善につながる可能性がある」
と結んでいます。
実証事業レポート(藤沢市WEBサイト)
https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/kaigo-j/projectk.html