東北大発ベンチャーが開発した世界初となる足こぎタイプの車椅子「COGY」。2010年4月の販売以来、足腰が不自由な人の移動用やリハビリ用に活かされるなど評判を呼んでいます。自転車販売事業を展開するシナネンサイクルが販売総代理店契約を結び、地域密着型の介護支援向け動き始めました。
“神経調整”で足こぎ動作を生む。販売数は累計6000台超に
足こぎ車椅子「COGY」は、東北大学大学院医学系研究科客員教授の半田康延博士グループが研究開発し、2010年4月からTESS社(宮城県仙台市)が製造・販売する世界初の介護福祉機器です。
TESS社は東北大学発、研究開発型ベンチャー企業。介護・医療用器具等の開発・販売を事業のひとつとして、neuromodulation(ニューロモジュレーション=神経調節)技術を東北から世界に向けて発進し続けること、そこから生まれるビジネスモデルを地域貢献とインテグレートしていく役割を大学、行政、企業と連携して展開しています。
足こぎ車椅子と聞くと、「車椅子はそもそも足腰が不自由な人用。果たして自力でこげるのか?」との疑念がわきましたが、COGYはどちらかの足が少しでも動かせれば、自力で移動できる仕組み。わずかな力を掛けるだけでペダルが前に出て、この動きが脊髄の「原始的歩行中枢」を刺激し、もう片方の足が反射的に動くことで、スムーズにペダルをこぐ動作となるのだそう。
通常は脳からの信号が脊髄を介して足を動かすところを、“右足を動かしたあとは左足”という反射的な指令が脊髄から出ることで足を動かすことができるというわけです。
COGYは、脳卒中で半身が麻痺した人や、腰痛、膝関節痛などで歩行困難な人のリハビリ用など、累計6000台以上を販売。エクアドルやコロンビア、ベトナム、タイなど海外での販売も展開しています。昨今はSDGsの理念を具現化するものとして、グローバルで注目が高まっています。
シナネンサイクルがCOGYを通じ地域の介護・福祉貢献へ
これまでサイバーダインが全国展開するロゴケアセンターなどで販売展開していますが、自転車の製造・卸売、自転車販売事業を展開するシナネンサイクル(東京都港区)がTESSと販売総代理店契約を締結し、運営する「サイクルプラザ ダイシャリン」で販売を開始します。
自転車事業における「COGY」の販売総代理店契約は国内初であり、シナネンサイクルとしても初となるリハビリ介護製品の取扱いとなります。
シナネンサイクルは1963年に創業し、1973年から全国初の郊外型自転車大型専門店「ダイシャリン」を展開しています。店舗数は現在、東北・首都圏エリアを中心に36店舗となっています。
これまでも車椅子の一部メンテナンスに対応していますが、歩行障がいの主な原因のひとつとなる脳血管疾患患者が約111万人いることや、今後の高齢化社会の進展など、歩行が困難となる人のリハビリがより一層重要になると判断、地域密着型の店舗を展開する事業特性を生かし、地域の介護・福祉に貢献するため、TESSとの「COGY」の販売総代理店契約の締結に至ったということです。
また今後も自転車事業をコアとして、お客様一人ひとりの快適な移動の実現を目指して、製品・事業を展開することで、SDGs(持続可能な開発目標)の目標である「3:すべての人に健康と福祉を」、「10:人や国の不平等をなくそう」の達成に貢献していくとしています。
▼関連リンク
足こぎ車いす「COGY」 http://cogycogy.com/
シナネンサイクル株式会社 https://www.sinanen-cycle.jp/