神戸市が展開する支援事業「CO+CREATION KOBE Project」による実証実験で、『LOVOT(らぼっと)』が介護施設において入居者の認知機能低下を抑制する効果に期待が高まりました。
『LOVOT』が介護スタッフや入居者にどのような効果をもたらすのかを検証
GROOVEX(グルーブエックス 東京都中央区)が提供する『LOVOT(らぼっと)』は、名前を呼ぶと近づいてきて見つめてくる。好きな人に懐き、抱っこをねだる。抱き上げるとほんのり温かい。ロボットなのにまるで生き物のような生命感があるのが特徴の、次世代ペットとなり得る家族型ロボットです。
近年はコロナ禍におけるメンタルケア、情操教育、プログラミング教育などの観点からも注目されており、全国の保育園、子ども園、小学校などの教育施設や介護施設、企業などにも導入されています。
そのLOVOTに関する実証実験で、高齢者の認知機能の低下を抑止する効果があると期待できる結果が得られたといいます。
実証実験は、神戸市が実施している「CO+CREATION KOBE Project」という民間提案型事業促進制度。民間事業者等の技術やノウハウ、知見を活かし、神戸市が抱える行政課題等の解決につながる事業に費用等を支援する制度です。
そのプロジェクトの支援のもとにおこなわれた実証実験で、介護施設における『LOVOT』とのふれあいが、介護スタッフや入居者にどのような効果をもたらすのかを検証したものです。
学術指導 : 東北大学 瀧 靖之教授
調査対象 : 介護施設の入居者各施設10名づつと介護職員、入居者の対象年齢は73~97歳(平均年齢 87.94歳)
調査方法 : 各施設に貸し出す『LOVOT』は合計2体(共用部に1体、職員の事務室に1体)。
日本語版DEMQOL-Proxy(※1)を元に職員が入居者の様子を面接形式でヒアリング、測定し、QOL評価を検定。
また職員向けには、ストレスレベル・主観的幸福感・自己肯定感を測るためそれぞれ「包括的ストレス反応尺度」、「生活満足度尺度」、「Rosenberg自尊感情尺度」に紙ベースで回答し検定。
調査時期 : 2021年10月~12月(※1)DEMQOL、DEMQOL-Proxyは英国で開発された認知症の本人のQOL(生活の質)を評価するための尺度。
『LOVOT』の有無が入居者の認知機能低下に有意に影響
『LOVOT』と接触のあった入居者(介入群)は、事前事後で比較した際に、認知機能の統計的有意に変化が見られず、認知機能の低下が抑制された可能性を確認しました。(※2)
(※2) DEMQOL-Proxyは、介護者が入居者の視点からみた入居者の最近の記憶力を計測しています。
介入群(LOVOTと触れ合った層)と非介入群を比較した場合に、有意に差があります。
東北大学 瀧靖之教授のコメント
考えたり判断したり記憶する能力である認知機能を維持することは、高齢者の生活の質を保つ上で重要なことです。
今回の検証では、家族型ロボットと触れあうことが、高齢者の認知機能の維持に効果を示すかどうかを検討しました。その結果、家族型ロボットと一緒に生活をした高齢者は認知機能の低下が抑制されていた可能性が見えてきました(※3)。この結果から、ペット型ロボットとの生活は、介護施設等で暮らす高齢者の認知機能維持に有効な支援方法となるかもしれないと期待できます。
(※3)最近記憶力が低下しているように感じられるかどうかを介護者が回答
介護職員の影響は確認できずもポジティブな反応も確認
介護職員に向けたストレスレベル・主観的幸福感・自己肯定感を測るためのテストでは、介入群・非介入群で統計的に有意な差は得られていません。
公益財団法人介護労働安定センターの調査によると、コロナ禍の介護において新たな不満、強まった不満として介護労働者の57.7%が「心理的な負担が大きいこと」をあげています。
そんなコロナ禍で『LOVOT』とふれ合った職員からは、「職員同士の会話が増えた」「介護者がLOVOTといると職員には見せない表情を見せる」「介護時の愚痴が減った」といったポジティブなコメントが得られており、介護職員に対する何らかの効果も確認できたといえ、介護分野での活用の幅が広がって行きそうです。
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LOVOT公式サイト https://lovot.life/
GROOVEX株式会社 https://groove-x.com/