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神戸市が国内初の住民対象データ連携システムを構築

神戸市が国内初の住民対象データ連携システムを構築 ICT・テクノロジー

医療・介護・健診など住民のさまざまなデータを連携させて、国内で初となるデータの積極活用の仕組みを神戸市が構築し運用開始しました。自身の健康状態がひと目でわかり、過去からの情報把握で将来的な病気予測への期待も高まっています。そのシステム概要を紹介します。

 

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令和2年4月時の緊急事態宣言下で治療への影響を分析

神戸市が構築した「ヘルスケアデータ連携システム」は、今まで別々に記録されていた個人の医療・介護・健診等のデータを個人ごとにまとめ、連携させ有効活用するシステム。こうした個人のさまざまなデータを連携させデータを積極的に活用する仕組みの構築は、国内で初めてのケースとなります。

個人ごとに健康であるか、病気にかかっていないかが一目でわかるようになり、現在の状態はもちろん、過去からの個人の情報が把握できることから将来かかるかもしれない病気を予測することも期待できるようになります。

「ヘルスケアデータ連携システム」としては、令和2年4月に発出された最初の緊急事態宣言下でデータ分析に取り組んでおり、新型コロナウイルス感染症の拡大が救急搬送の代表となる狭心症や心筋梗塞になった人の治療に影響していないかの調査・分析を行っています。
その結果、緊急治療が必要な患者には適切な治療されていたことが九州大学福田准教授の研究チームにより確かめられたということです。

「ヘルスケアデータ連携システム」概要は以下です。

「ヘルスケアデータ連携システム」概要とデータの流れ

ヘルスケアデータ連携システムについて

(1)概要
個別の業務システムで管理されている医療・介護レセプト(診療報酬・介護給付費明細書)データ、健診データ、予防接種データなどを九州大学が開発したデータ連結プログラムを活用することで、個人単位で連結しました。

(2)連携データ
①医療レセプトデータ
年齢、性別、傷病名、診療行為、医薬品、医療機器、受診医療機関、医療費、受診日数など
②介護レセプトデータ
年齢、性別、種類別介護サービス単位数、利用介護施設、要介護度、介護費など
③介護認定調査票
日常生活自立度、ADL、要介護度など
④健診データ
身長、体重、BMI、腹囲、血圧、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール、GOT、GPT、
γ-GT、血糖値、HbA1c、尿糖、尿蛋白、メタボリックシンドローム判定、保健指導レベル、生活習慣など
⑤予防接種の接種状況
⑥転入・転出・死亡日等一覧表

(3)期待される効果
過去から現在までのより多くのデータが個人単位で総合的に分析できるようになることで、市民の健康状態や生活習慣がより正確に把握できるようになり、将来かかるかもしれない病気の予測や生活習慣病と要介護状態の関連性の解明などが期待されます。

また、疾病予防・重症化予防や生活機能の改善(フレイル予防)など、保健・医療・介護分野において、科学的根拠に基づく様々な施策展開も可能となります。例えば、生活習慣病と要介護状態の関連性や発症予測ができることで、将来要介護状態になる可能性が高い方への効果的なアプローチが可能となるなど、様々な効果が期待されます。

学術機関に一定の手続きを経て、研究⽬的で匿名化データを提供し、研究結果のフィードバックを受けることで、健康増進施策に活かせる先進的な知⾒を得ることもできます。

 

神戸市が国内初の住民対象データ連携システムを構築

ヘルスケアデータ連携システムイメージ図

 

神戸市が国内初の住民対象データ連携システムを構築

データ提供の流れイメージ図

 

「レセプトデータを用いた新型コロナウイルス感染症の疫学研究」(結果概要)

本研究は、九州大学大学院医学研究院医療経営管理学分野 福田治久准教授らの研究グループにより、新型コロナウイルス感染症が日本の救急搬送の代表と言える狭心症や心筋梗塞の治療にもたらした影響を調べるために実施されました。

神戸市の医療レセプトデータを用いて、カテーテル手術の件数と心臓発作(狭心症や心筋梗塞)を緊急と非緊急に分けた場合のそれぞれのカテーテル手術実施率の変化を、新型コロナウイルス感染症流行前(2019年)と後(2020年)の同月で比較しました。

その結果、新型コロナウイルス感染症流行後には全体のカテーテル手術件数は減っていたものの、内訳を見てみると緊急カテーテル手術の実施率に変化はなかったことが判りました。つまり、新型コロナウイルス感染症の流行によって影響を受けたのは、緊急治療が必要ない心臓発作だけで、緊急治療が必要な心臓発作は適切に治療されていたことが確かめられました。

今後、本研究はいわゆる第3波の分析も含め、今後も継続して実施されます。また、新型コロナウイルスワクチンの効果や副反応に関する研究についても実施予定です。

神戸市が国内初の住民対象データ連携システムを構築

※STEMI:貫壁性心筋梗塞。閉塞した血管を直ちに開通させなければ、不可逆的な心筋壊死に陥るため、臨床現場では時間との勝負となる。

※Non-STEMI:心内膜下心筋梗塞。こちらも血管の開通が必要であるが、臨床現場ではSTEMIと比較すると急がないため、STEMIとNon-SETMIは区別される。

 

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