-2026.1.28発表-
社会福祉法人元気村グループ(埼玉県さいたま市)が運営する「南方ナーシングホーム翔裕園」(宮城県登米市)で園芸活動(園芸療法)による心理的・身体的変化の研究を実施し、その成果と考察を公表しました。
昼夜逆転・不安感の増加を背景に始まった園芸療法への挑戦
社会福祉法人元気村グループが運営する介護老人保健施設「南方ナーシングホーム翔裕園」で園芸活動(園芸療法)を実施したきっかけは、利用者の施設の中で昼夜逆転や中途覚醒が増え、認知症の症状も目立つようになってきたこと。園芸療法は、自然や植物に継続的に触れることでストレス軽減・精神安定・社会性の維持向上を目指す療法とされています。
本人への聴き取りでも「畑仕事をしたい」という希望もあり、園芸活動が心理面・生活リズムに効果を与える可能性があると考え、研究テーマとして設定しました。
その検証内容と成果を紹介します。
生活パターン・心理評価・身体機能を多角的に測定する研究計画
以下の3つの視点から変化を評価
・生活パターンの測定(見守りセンサー)
・心理・身体・認知の評価(PCGモラールスケール、HDS-R、TUG、握力)
・園芸活動(作付け → 水やり → 収穫)を1か月半実施
活動期間は1か月半に設定し、研究前後の変化を比較した。

園芸活動を軸とした1か月半の取り組み内容
Step1:研究前の評価(心理・身体・認知機能)を実施
Step2:作付け → 水やり → 収穫を実施
ご利用者本人が毎日欠かさず水やりに参加し、植物への声掛けや観察も行った。
Step3:研究後の評価を実施し比較

昼夜逆転の改善・笑顔の増加など心理面で大きな変化
●生活パターンの改善
見守りセンサーのデータから、日中の傾眠や夜間の中途覚醒が減少するなど、生活リズムの安定が確認された。
●表情・意欲の変化(職員の観察による評価)
表情の硬さが減少し、笑顔が明確に増加した。活気が生まれ積極的な発言が見られるようになった。
作業への集中力が向上し、日課として取り組む姿が見られた。
●PCGモラールスケールの改善
初回:4点 → 最終:8点
満足感の増加・心理的安定の向上が数値として確認された。
●身体的・認知的項目 大きな変化は見られなかった
しかし、握力は「5kg以下のため測定不能 → 測定可能(5kg以上の握力)」に改善。運動量の増加・取り組む姿勢の変化が影響したと考えられる 。

精神安定への効果の背景と園芸療法の意義
初回評価では、不安・深刻化傾向・心配性といった心理状態が確認されたが、最終評価では3項目すべて改善した。
その背景として、既存の研究では、
・日光を浴びることでビタミンDが生成され、セロトニン合成が促進 → 精神安定につながる
といった効果が示されており、今回の改善もこれらの作用が影響したと考えられる。
個別介入での実施という限界と、今後の可能性
今回の研究は個別介入であり、論文にあるような集団実施・1時間以上の介入とは条件が異なる。そのため、身体機能や認知機能に大きな変化が見られなかった点は今後の改良ポイントである。
一方で、表情の変化・意欲の改善・生活リズムの安定・心理状態の向上といった「生活の質(QOL)」の向上が短期間で見られたことは、大きな意義がある。
園芸を通じた“役割”が人を変える
今回の取り組みを通じて、園芸活動は単なるレクリエーションではなく、心理的安定・生活意欲・役割意識の向上につながるアクティビティであることが確認できた。今後は、介入時間の延長・集団での実施・他のご利用者への展開などを検討し、ADLやQOL向上にさらに寄与する仕組みづくりを目指す。 ご利用者が自然に触れ、「育てる」という役割を持つことで、心が動き、生活に変化が生まれる。南方ナーシングホーム翔裕園は、これからもご利用者の生活を豊かにするアクティビティの実践を続けていく。
社会福祉法人元気村グループ
https://www.genkimuragroup.jp/
介護老人福祉施設 南方ナーシングホーム翔裕園
https://www.genkimuragroup.jp/facilitylist/minamikata-nursing/











