リクルート社の調査研究機関ジョブズリサーチセンター(JBRC)が、介護業界の就職を検討した人、実際に就職した人を対象にした意識調査を実施、介護業界への就業促進に通じる資料となるべく調査結果を公表しました。
介護業界への就業を決めた/辞めた理由が浮き彫りに
ジョブズリサーチセンターが行った「介護業界への就業に関する意識調査」は、“介護業界への就業促進について検討する際の基礎資料とするため、介護業界へ入職に際してのハードル、ひいては改善施策を明らかにすること”を目的に実施されたもの。
以下のような、介護業界の仕事に関心を持った人を対象に、仕事を探すうえでの条件や決定の際の決め手などを聞き、介護業界への入職にあたってハードルとなっているのは何か、改善求められるポイントは何かを取りまとめています。
調査対象としたのは以下。
・介護業界未経験で5年以内に介護の仕事を検討したことがあるが他業種に就業した方
・介護業界未経験で5年以内に介護の仕事に就業した方
・介護関連の資格を持っているが他業種で働いているもしくは非就業の方
以下に調査結果の概要を取り上げます。
調査目的:介護関連業の雇用促進について検討する際の資料とするため、未経験介護関連業就業者や介護関連業就業検討者の実態、介護関連資格保有者の意識を明らかにすること
調査方法:インターネット調査(クロス・マーケティング社モニター)
調査期間:2022年 2月 25日(金)~ 3月 1日(火)
調査対象:介護関連業未経験で5年以内に就業経験あり
①介護業界を検討し たが他業界就業者
②介護業界就業者
③介護関連の資格保有者で、他業界就業者または非就業者
回答数 ①377 ②299 ③589
仕事を決める要件、終業後に感じたギャップとは!?
仕事探しの給与条件
給与条件で最低限必要と考えていた額は
他業種就業者では「時給1,000円~1,050円未満」「月給15万円~25万円未満」、
介護就業者では「時給950円~1,000円未満」「月給15万円~25万円未満」が高い。
介護業界は一般的に「給与が低い」と言われることも少なくありません。
今回の結果でも妥協可能、最低限必要と考えていた額が介護就業者のほうが低めであり、求める給与水準が高い方ほど介護職から遠ざかってしまう可能性が考えられます。
終業後のギャップ
介護業界および他業界の就業者にとって、就業後の状況は想定通りなのでしょうか。
一般的に介護業界は「給与が低い」、「給与が上がらなさそう」と見られがちながら、今回の調査では、想定よりも「給与が低い」、「給与が上がらなさそう」と感じたのは、介護業界の就業者の方がその他業界よりも少ないことが分かりました。
介護業界の41.8%が、想定以上に「給与が上がらなさそう」(右図青色合計)と感じたのに対し、その他業界は53.6%と半数を超えています。
介護業界の割合も少なくはないものの、就業後のギャップという観点から見ると、中長期的な賃金の課題は介護業界特有の話ではなさそうです。
仕事探しの条件比較
他業界に就職した人から見た比較
他業種就業者が就業時に重視した要件のうち、介護業界が負けているとされる点は
「勤務の時間帯のフィット感」「勤務時間の長さのフィット感」「勤務日数のフィット感」「土日休みの多さ」など勤務条件関連
「職種としての魅力」「業務の覚え/こなしやすさ」「業務の身体的負担の少なさ」など仕事内容関連
といった回答があがっています。
特に重視度が高く、介護が負けていると考える人の多いのが
「勤務の時間帯のフィット感」「勤務時間の長さのフィット感」など勤務条件関連
これらは改善点として優先的に取り組むべき要件と受け取れます。
介護業界に就職した人から見た比較
・介護就業者の就業時重視点の中で、特に介護業界が負けているとされる点は
「基本給や時給の高さ」「賞与の有無や額の魅力」などの給与・賞与関連
「勤務の時間帯のフィット感」「年間の休日数の多さ」など勤務条件関連、
「業務の心理的負担の少なさ」「業務の身体的負担の少なさ」など仕事内容関連
といった回答があがっており、他の条件次第では介護に就業していなかった可能性も考えられます。
就業期間を重視した回答者のうち、「1年以上」、「定年まで」といった長期間の就業を重視していた割合を見ると、その他業界(右図青色)よりも介護業界(右図黄色)の方がそれぞれ少なく、特に「1年以上」は約10ポイントの差がありました。
いずれの回答者も介護業界未経験者で介護業界の離職経験もない状態でしたが、長期就業希望者にとって介護業界は「続きそうにない」というイメージを持たれていることが考えられます。
「介護業界就業検討者の意識レポート」詳細
https://jbrc.recruit.co.jp/data/data20220331_2167.html