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ニーズが増加する老人ホームでの「看取り」実態を調査

ニーズが増加する老人ホームでの「看取り」実態を調査 調査

老人ホーム検索サイト「みんなの介護」を運営するクーリエ(東京都渋谷区)が、看取りニーズ増加にともなう介護施設の課題を調査、施設での看取り環境が整いつつある一方、職員のケアが追い付いていない状況などが確認されました。

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病院、自宅での看取りに掛かる負担

ニーズが増加する老人ホームでの「看取り」実態を調査

『人口動態調査』(厚生労働省)を基にクールエが作成

2000年以降、老人ホームで最期を迎える人がじわじわと増える傾向にあります。
厚生労働省は、看取りケア専用の個室確保を目的とした特別養護老人ホームや介護老人保健施設をはじめとした施設を対象とした補助をおこなうなど、さまざまな看取り施策が打ち出されています。

なかでも「ユニットケア型個室」の増加で利用者側の心理的ハードルが下がったことと、新たに制定された「看取り介護加算」により施設側の増収が見込まれるようになったことが、大きな後押しとなっているようです。

反面、病院や自宅で看取ることが難しくなっている背景もあるようです。

病院では医療費の負担、入院の短期化傾向。自宅では費用負担の影響はないものの何より家族負担が大きく、医師や看護師が身近にいない環境では、なかなか難しいことが現状です。

ニーズが増加する老人ホームでの「看取り」実態を調査

「みんなの介護」が保有するデータを基に、看取りに対応している施設数の割合(クーリエ作成)

介護現場が抱える「看取り」課題

老人ホーム側では施設での看取り環境は整いつつありますが、その一方で、現場の施設職員のケアが追い付いていないという問題が表面化しています。

現場が抱える問題について、同社では次のようにまとめています。

介護職員に掛かる心理的負担の大きさ

看取りケアは、その性質から心理的な負担が大きく、介護職員が不安に感じることが多いと報告されています。

調査論文『介護職員の看取りに対する認識と認識に影響する要因─混合研究法を用いた探索的研究─』によると、看取り対応で不安に感じることは「利用者の容態が急に変化し、亡くなること」が53%、「利用者がいつ亡くなるのか、判断できないこと」が45%という結果も出ています。

経験がある介護職員からは「お世話して看取りたい」「今後も看取りを続ける」という意見が出る一方、経験がない職員からは「利用者の死はショック」「利用者の死に接したくない」という意見が出ています。

一人で対処・判断する状況への不安、経験不足、死と向きあう難しさなど、職員にとって看取りの不安は尽きません。
経験者・未経験者問わず、職員が最も重視しているのは「高齢者施設の看取りに対する方針」で41%の方が不安に感じています。
次いで、看護師やスタッフとの連携を38%の方が不安に感じている状況です。

介護職員は、施設方針に基づき看取り対応をしていることがわかります。
次いで、「看護師やスタッフとの連携」も多くの介護職員が重要視しています。

つまり、施設経営者・現場のリーダーには、職員に対して看取りケアの方針を明確に示すとともに、看護師・医師との連絡方法や協力体制について整備し、看取りに取り組むことが求められています。

ニーズが増加する老人ホームでの「看取り」実態を調査

『介護職員の看取りに対する認識と認識に影響する要因─混合研究法を用いた探索的研究─』(川上嘉明、浜野淳ほか)を基にクーリエが作成

必要なのは適切な能力が発揮できる環境づくり

医療機関との協力体制の構築に必要なポイントは以下の4点があげられます。

  1. 医師・看護師・ケアマネジャー・介護士などの職種間、さらに入居者の家族を含めたコミュニティ作り
  2. 強化型在宅療養支援診療所(24時間体制)を協力医療機関にし、ターミナル期の入居者に対しては【診療所】の医師と【施設】の看護師が訪問診療の時に情報交換できるようにする
  3. 多職種が参加する会議に診療所の職員参加も促し、急変時の対応を取り決める
  4. 医療職から介護職へ容体がいつごろ変化しそうか予測を共有する

利用者のニーズはもちろんのこと、かかわりを持つ誰もが適切な能力を発揮できるような環境作りがこれからの介護施設には求められていきます。

 

介護情報の総合ポータルサイト「みんなの介護」
https://www.minnanokaigo.com/

株式会社クーリエ
https://www.courier.jpn.com

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