「要介護者が痙縮を患ったら?」全国のケアマネジャーに調査

「利用者が痙縮を患ったら?」全国のケアマネジャーに調査 Report
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要介護者の介護が必要となる原因に多い脳血管疾患(脳卒中)によく見受けられるのが「痙縮」。その痙縮治療について全国のケアマネジャーを対象に実施したアンケート調査の結果が公表されました。実施会社では治療に関する知識の啓発が患者への治療の勧めにつながるものとの見解を示しています。

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全国のケアマネジャーを対象に調査実施

今回のアンケート調査は、全国のケアマネジャー9万人が登録するウェブサイト「ケアマネジメント・オンライン」、全国にリハビリ型デイサービス「レコードブック」を展開するなど、健康寿命の延伸に向け、様々なヘルスケアサービスを運営するインターネットインフィニティー(東京都品川区)が、ケアマネジャーをパネルにした要介護高齢者の医薬品独自調査サービス『CMNRメディカル』の第17回調査として実施したもの。

痙縮は、手足の筋肉が緊張しすぎて突っ張ったりこわばったりする状態のこと。脳卒中でよくみられる運動(機能)障害のひとつです。要介護者にとって日常生活動作を低下させるだけでなく、リハビリの妨げや、介護負担を増やしてしまう原因のひとつになります。

全国のケアマネジャーを対象とした本調査は、痙縮治療についての認識や、痙縮がある要介護高齢者への働きかけに関して調査したもの。

その結果、「痙縮は病院で治療できる」と知っているケアマネジャーであれば、痙縮患者の半数に治療を勧めていることが明らかになりました。しかし、病院で治療できることを知っているケアマネジャーは5割にとどまっていました。
また、自信をもって治療を勧めるためには知識が不足していると感じているケアマネジャーが多いことが分かりました。

同社では、痙縮やその治療に関する知識を啓発すれば、ケアマネジャーの勧めから医療機関を受診する痙縮患者が増えると考えられるとしています。

また、多くのケアマネジャーが、利用者の痙縮治療後の変化として、気持ちの面での改善も実感しており、その先にある利用者の生活の充実を重要視していることも分かってきたということです。

■調査概要
調査名:CMNRメディカル(第17回) 「痙縮に関するアンケート」
期間:2020年10月2日~2020年10月7日
調査パネル:「ケアマネジメント・オンライン」に登録する会員ケアマネジャー(居宅介護支援事業所、地域包括支援センターに勤務)
調査サンプル数:509名
調査方法:WEBアンケート

 

患者の治療後の変化に「気持ちが前向きに」との回答も

Q:痙縮がある利用者の生活を支えるにあたって、優先して解決すべき項目は何だと思いますか?

※優先度の高い順にすべて(1~10位まで)並べ替え

「利用者が痙縮を患ったら?」全国のケアマネジャーに調査
ケアマネジャーに、痙縮のある利用者にとって優先して解決すべき項目は何だと思うか尋ねたところ、回答者の約7割が、「痙縮」を3位以内に選択しました。

また、8割以上のケアマネジャーが、痙縮を治療することができれば「本人の気持ちが前向きになると思う(84.7%)」「ADLが向上すると思う(80.2%)」「リハビリが行いやすくなると思う(84.7%)」「介護の負担が軽くなると思う(83.3%)」と回答していました。

このことから、多くのケアマネジャーが、利用者の生活を支えるために痙縮を解決したいと感じており、症状が改善すれば利用者にとってはもちろん、介護者にも良い影響をもたらすと考えていることが分かりました。

Q:痙縮は病院で治療できることを知っていますか?

「利用者が痙縮を患ったら?」全国のケアマネジャーに調査
しかし、ケアマネジャーの約半数は病院で痙縮が治療できることを知らないのが現状のようです。

Q:痙縮がある利用者のうち、何割に痙縮治療を勧めていますか?

「利用者が痙縮を患ったら?」全国のケアマネジャーに調査
一方で、「痙縮は病院で治療できる」と知っているケアマネジャーは、痙縮のある利用者の多くに治療を勧めていることが明らかになりました。実際に、痙縮がある担当利用者すべてに治療を勧めている(10割)と回答したケアマネジャーは17%でした。平均すると、治療を勧められている利用者の割合は45.5%でした。

Q:自信をもって痙縮治療を勧められないのは何が原因だと思いますか?

「利用者が痙縮を患ったら?」全国のケアマネジャーに調査
自信をもって痙縮治療を勧められない理由は何だと思うか尋ねたところ、最も回答が多かったのは「痙縮治療に関する知識の不足(63.5%)」、次いで「痙縮に関する知識の不足(59.7%)」、「痙縮治療ができる医療機関の情報の不足(57.8%)」となりました。

痙縮という疾患そのものや治療に関する知識を啓発することで、自信をもって利用者に治療を勧めるケアマネジャーが増え、要介護高齢者が痙縮治療を始めるきっかけを増やすことができると考えられます。

また、ボツリヌス治療についての知識を問うた質問では、ケアマネジャーの約6割が「治療は継続的に行う必要はない」と、誤った認識を持っていることが分かりました。

その中には、痙縮治療を受けた利用者の事例として、
「すぐ元に戻り、効果が実感できていない」
「その内効果がなくなるので、落胆と諦めの気持ちが見られる」
「治療後はいいが効果が継続せず、そのまま治療を中止してしまった」
を挙げたケアマネジャーもいました。

このような事例では、痙縮治療に関する正しい知識を持ったケアマネジャーであれば、医療機関の受診を促して治療が継続されていたかもしれません。

一方で、治療後の良い変化としては、
「前向きな気持ちで生活をしている」
「リハビリへの意欲が向上した」
など、気持ちの面の改善についてのコメントが多く挙げられていました。

このことから、ケアマネジャーが、単なる症状の改善だけでなく、その先にある利用者の生活の充実に重きを置いて、治療の効果を評価していることが分かります。

痙縮のある利用者がより自分らしい生活を実現するためには、医療と介護の連携が欠かせません。連携の要であるケアマネジャーに対して、痙縮とその治療などに関する正しい情報を発信していくことが求められています。